見出し画像

短編小説 神屋宗湛 - 砂浜に町を描いた男 - (2)

短編小説『神屋宗湛』 - 砂浜に町を描いた男 -
こちらは、ななくさつゆりの短編小説です。
1記事につき2500~3000字程度のショートストーリーを4~5記事に分けて連載いたします。
こちらは木曜日更新の予定です。

前回:神屋宗湛 - 砂浜に町を描いた男 - (1)



天正てんしょうの博多



 仲夏ちゅうかにさしかかる。

 博多の町の外では、百姓ひゃくしょう背振山地せふりさんち稜線りょうせんを背に、はりつく日射しの中で苗代なえしろに種をいて汗を流していた。

 町の外からみなとへとおもむけば、焼けた博多に点在する町家は荒れて痛ましいものの、往来に人通りは絶えず、沖には廻船かいせんが入ってきている。町をゆく人々の中には異国人の姿もあった。

 それらに加えて今は、関白かんぱく秀吉ひでよし率いる豊臣とよとみ勢にくみした武士たちが、薩摩さつま島津しまづ勢力をくだして博多に凱旋がいせんしたばかりである。

ここから先は

2,396字
この記事のみ ¥ 100

この記事が参加している募集

最後までお読みいただきありがとうございます。 今後も皆さまの読書体験に貢献できるよう活動を続けてまいります。 いただいたチップは創作の活動費に充てさせていただきます。 何卒ご検討をお願い申し上げます。