情景133.「光の溜まる場所」【掌編小説 at カクヨム】
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「光の溜まる場所」です。
シンプルに、こういう空間が好き。
胸がすくような。
ここに居たいと思ううちに、時を忘れてしまうような。
夏が来ますね。
ななくさつゆりです。
司馬遼太郎のエッセイ集、『以下、無用のことながら』に収録されているエッセイの中で、司馬遼太郎が博多の承天寺を尋ねた時のものがあります。
いきなり余談ですが、博多の承天寺、ご存知ですか?
なにやら、うどん発祥の地、らしいのですが。
具体的には、中国から製粉技術をもちかえってうどん・そばの製法を日本に広めたことが、発祥の地の由来だそうです。
当時は日宋貿易の玄関口として、博多津(港)には様々な文化の往来があったそうですから、そのような一面もあるのでしょう。
それは置いといて、今は司馬遼太郎が承天寺を訪ねたときのことです。
畳の間に通され、雲水から茶菓の接待を受けた時の、障子に陽があたってぼんやりと光が通った感じ。そこから眺めた庭のイメージ。光の温かみと透き通る風。
上記を読んだの情景の“感じ”に多大な感銘を受け、そのイメージを保持しようと思考を巡らせながら書き下ろしたのが、この「光の溜まる場所」です。
松籟はそのときの名残り。
松は博多にも承天寺にも縁深いものですから。
風のよく通る畳の間。
こんなところで原稿したくなりますよね。
ともあれ。
開けた障子の間から風が吹き抜けていく情景。
お楽しみください。
『あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ちょっとしたお話のあつまりです。
どこからでも何話からでも好きなところから読みはじめて大丈夫。
気になったタイトルをひらいてみてください。
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