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09chiharu
エッセイ 冬のひかりと風邪アタマ。
1.時をえらばず。
深夜、咳き込む自分に驚いて目が覚める。
掛け布団と毛布にくるまれていても、足先は冷えて凝っていた。
のっそりと起き上がり、布団を前に倒して胡坐して、喉を押さえ、
「なんだかなァ」
と、愚痴をこぼすように独りごちる。声がかすれている。
そのとき、真っ暗な寝室でそばのカーテンの隙間から、白い光点が横目にちらついてきた。
部屋の壁に一瞬だけ、私の型をくりぬいた影が走る。
遅れて車が走り去っていく音が聞こえた。
深夜もいいところだというのに。
ポットに残っていたぬるま湯でうがいをする。
跳ねっかえる横髪を指の腹で撫でた。
寝ている間、いくらか咳き込んでいたのかもしれない。
いつもより喉が乾燥していて、呼吸がかすれるような、息がひっかかるような。
どうやら自分、風邪をやらかしたくさいな。
2.時のありよう。
少し前に、『季節の変わり目だから』という、風邪を引いたときにポカリを飲むクセという話をしたと思う。
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1,830字
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