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ポメラを買った理由の話

【ポメラDM250を買った経緯について振り返っているだけの雑文】

 2代目のポメラを買った。

 ポメラ。事務用品の王者、キングジムから発売されているデジタルメモだ。現代版の小型ワープロといった風情で、文章を書くことに特化したツールである。

 2022年夏発売の最新機種、DM250。
 先日、これを衝動買いした。

 文章を書くことが趣味である。それはもう、長らくそうである。四半世紀前には小説らしきものを書きはじめていたし、毎日日記をつけているし、短歌に傾倒した時期もあったし、エッセイを綴ることも覚えた。バンドを追いかけるようになってからは、参戦したライブの記録を欠かさずつけるようにしている。

 そんな私にとって、「文章を書くために特化したツール」というのは、素晴らしく輝いて見えた。

 初めて買ったポメラはDM25だった。2013年春発売の機種である。といっても中古品だ。試しに使ってみたいと、手頃な値段で出品されていたものを購入したのだ。キーボードが折りたたみ型で、コンパクトに持ち運べるのが魅力だった。
 しかし、しばらくすると頻繁に電池切れを起こすようになった。そのうちに一部のキーが利かなくなったと思ったら、あろうことかエンターキーが壊れ、使いものにならなくなった。あとで知ったことだが、折りたたみ型のポメラは最終的にキーが利かなくなることが多いらしい。修理して使い続けたかったのだが、悲しいことに既に修理対象外となっていた。

 そして私はポメラを手放した。
 物書きの趣味から遠ざかっていた時期でもあったため、残念なことにさして困らなかった。
 このまま、文章を書くことをやめてしまうかもしれない。うっすらと、そう思ったこともあった。少し淋しいけれど、人生なんてそんなものだろう。

 しかしなんの因果か、私は再び文章を書きはじめた。
 小説からは遠ざかったが、日々の出来事をエッセイとして綴るようになった。
 物語を紡ぐことはもう無いと思っていたのだが、友人に誘われ、見よう見まねでTRPGのシナリオを書きはじめた。

 PCに再びテキストファイルが増えてきた頃、私の目に再び、ポメラが留まった。

 最新機種、DM250。
 キーボードは、折りたたみではないストレート型だ。
 日本語入力機能が強化され、変換機能が使いやすくなったらしい。
 連携アプリが進化しているのも魅力的だった。私は自分の書いた文章をすべてPCに集約しているため、PCへの転送がスムーズになったのは大変にありがたい。

 しかし。
 お値段、実に4万円以上。
 発売当初に比べて随分下がっているとはいえ、なかなか勇気のいる値段であった。

 また中古を探そうか、と、一瞬考えた。なんなら、ひとつ前の世代でも構わない。少なくとも、先代のDM25よりは新しいのだから。
 しかし、壊れてしまった先代のことを思い出す。やはりきちんと新品で買って、きちんと耐用年数いっぱい使い倒すべきではないか。第一、先代を中古で買ったのは、「自分に合うかどうか判らないから」でもあったはずだ。機種が違うとはいえ、使い心地や活躍の場を解っているデバイスを、わざわざ中古で買うことはないだろう。お試し期間は既に済んでいるはずだ。

 ええい、買ってしまえ。
 そうやって勢いで購入したのが、つい1ヶ月前のことである。

 そして私は、再びポメラとの共同作業を始めた。
 端的に、良い。

 先代に比べると倍くらいのサイズ感だが、そうはいってもPCより小型である。ぱっと開いてさっと書いてすっと閉じることができる。ストレート型なので、先代で必要だった「キーボードを慎重に開く」という動作がなくなり、より気軽に扱えることに気がついた。
 先代に比べて画面が大きい。流れや全体像を見渡しやすくなり、執筆時の思考がスムーズになった。
 充電式なので、電池交換の手間がなくなった。そもそもバッテリーが大容量なので、さほど充電を気にしなくて良い。

 やっぱり素敵じゃないか、ポメラ。

 私がポメラを買ったのは、「文章を書きたいから」だ。PCよりは気軽に、スマホよりはしっかりと。
 そういえば、私が初めて手に入れた自分専用の執筆機械は、伯父から譲り受けた旧式のワープロだった。初心にかえって執筆に集中するのは悪くないだろう。
 私は満足している。

 書くものは変われど、書く量は変われど、結局ずっと書き続けている。
 私はもうしばらく、物書きでいたいらしい。
 だから宜しく頼むよ、相棒。

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斜芭 萌葱
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