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「光る君へ」と氷室冴子と少女小説

今年の大河ドラマ「光る君へ」を楽しみに観ている。
前半はそれほどでもなかったけれど、主人公のまひろ(後の紫式部)が彰子の元に参内した頃からは、1回では飽き足らず何度も見ている。
だって楽しいんだもん。

ストーリの展開や俳優さんの演技も見応えがあるけれど、個人的に素晴らしいと思うのがセットや衣装。主人公の住む傾いた感じの中級貴族の家、御簾越しに見る若い男性貴族の様子など、あ〜あのとき読んだあれはこういう事だったのね、と一つ一つ納得している。

そこでふと読み返してみたくなったのがこれ
(noteでも何人か感想を書いていたのもきっかけ)

近所の書店に取り寄せを頼んだところ「在庫切れ」と言われてしまい、第一話と第二話をKindleで読み返した。結果、中学生の頃には気づかなかった凝った構成や細かい描写に痺れている。いや〜すごい。

ストーリーの面白さはもちろん、低すぎず高すぎない登場人物たちの身分設定、平安時代に実際にあった(であろう)事件や噂話を巧みに散りばめたディティール。中学生の頃はストーリーの展開ばかりを追っていて、全く気づくことができませんでした。すみません。

実は時代小説って苦手なジャンルで(これ本当?とツッコミしたくなる)、普段もほとんど読まないのだけれど、この作品に関してはそれが全く無いのもまたすごい。10代の少年少女たちがこんな活躍できるのか?とも感じるけれど、それは成熟期がどんどん遅くなっている現代の私の感覚だろう。

今でこそ作者の氷室冴子さんが大変な読書家かつ知的な人で、豊富な平安時代の文学知識を元にこの小説を書いたと知っているけれど、恥ずかしながら中学生の私は「しょせんコバルト文庫でしょ」と見下しながらページをめくっていた気がする。実際、姉が持っていた「恋する女たち」は読んだけれど、そのほかの氷室作品は読んだ記憶がない。
そして正直なところ「光る君へ」にハマるまで、こんなにも魅力的な作品があった事を思い出すことも、読み返そうと思うことも無かった。

昨年は氷室冴子さんの没後15年だったそうで、北海道立文学館で記念展示があるほか、NHK北海道で昨年制作した特別番組の再放送もあるそうだ。

今回の気づきをきっかけに、ほかの氷室作品も読み返してみようと思う。
せっかく大河のセットもあることだし、NHKで再ドラマ化してくれないかな〜。

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