風はなぜ吹くの? / #シロクマ文芸部
( #ショートショート 本文:881文字)
北風と言えば『六甲おろし』と神戸市民は答える。
西高東低の冬型の気圧配置になると、西からの季節風は明石海峡で収束して山添いに強く吹き抜けたり、六甲山地の山頂に当たってから、加速度をつけて吹き降りる。これが六甲おろしと呼ばれる北風だ。
つまり、神戸市民は、強い北風が吹き始めると、「六甲おろしが吹いた。冬がやってきた」と感じるのだ。
ところが、今年は3月ごろから六甲おろしが吹き始め、春、夏、秋とほぼずっと吹いているため、冬が来た気がしない、なぜそんなことになっているのか、との声が視聴者から多数寄せられている。
おっと、言い忘れたが、私は関西にある民放テレビ局に勤めている気象予報士である。
気象予報士の主な仕事は、気象庁の気象データをもとに天気や気温、湿度、降水確率などを予測し、その結果を情報提供することだ。
最近は、異常気象で、天気は狭い範囲でころころ変わるし、地球温暖化で夏は猛暑が続き、まったく雨が降らずにからからに乾燥したかと思えば、1日で豪雨が続いたりする。まったく予報士泣かせの天候だ。
それでも、気象観測衛星やこれまでの気象データから、スーパーコンピューターの分析力を駆使し、天気予報をなんとか立ててきたのだが、ここ神戸市では、予測がことごとく外れてしまうのだ。頻発する六甲おろしのせいだ。
そのデータを詳しく見ていくと、
・火曜日は北風が吹かない
・3日吹いては1日吹かないという法則性あり
・7月後半は1週間近く吹かなかった
・雨が降った翌日は吹かない
・他にも、ときどき吹かない日がある
ということがわかった。
これらのデータから、スーパーコンピューターがはじき出した答えは、プロ野球、関西ライガースの勝ち試合と関連しているとのことだった。
確かに、ライガースが勝って球団応援歌『六甲おろし』が歌われた翌日は北風が吹いている。だが、さすがにそんなことは、放送では言えないので、お茶を濁しておこう。いや、ジョークのようにコメントしたら、ウケるかもしれない。
もういいや。定時になったら速攻で帰って、ビールでも飲みながらライガースを応援しよう。勝てば明日も六甲おろしが吹く。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
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お題: #北風と
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お父さんがテレビの前で応援するとライガースは勝利し、六甲おろしが吹きます。
火曜日は北風が吹かない
→ 月曜日はオフの日なので試合がない3日吹いては1日吹かないという法則性あり
→ 3試合してから1日移動日なので試合がない7月後半は1週間近く吹かなかった
→ オールスターゲームのときは試合がない雨が降った翌日は吹かない
→ 雨の日は試合がない他にも、ときどき吹かない日がある
→ テレビ放映されない日はお父さんは六甲おろしを歌えない
しかけが複雑で笑えなかったら
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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