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定番は正義? パタゴニア フーディニジャケット
ウインドシェルに興味はあったのですが、あのペラペラなウェアがホントに役に立つのか?と疑問でなかなか手を出せないでいました。しかし、意を決して購入してみました。そして購入したのはウインドシェルの定番中の定番、パタゴニアのフーディニジャケット。ペラペラなくせして、そのお値段は15800円!(だったはず)
1年ほど使ってみたのでそのレビューを書いてみました。なお、ひたすら偏った内容になると最初に断わっておきますw
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初めて山で使用した際の印象は、思ったより蒸れる?
いきなりネガティブな印象を受けてしまいました
ウインドシェルは防風性もありながら通気性も備えるイメージでどんどん蒸れが抜けていくと思っていたのですが、このフーディニはそれほど通気していると思えずむしろ蒸れていると感じました。
そこでパタゴニアのWebページのフーディニジャケットの部分を見てみると、カテゴリーは「高透湿ソフトシェル」
あれ、もしかしてカテゴリー間違えたか?と心配になりパタゴニアのカスタマーセンターへ通気性も含めて問い合わせて見ました
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そうするとパタゴニアからは
「フーディニジャケットは軽量薄手ながら耐風性と撥水性を持つ製品で通気性はあるものの耐風性を重視しているため汗を大量にかくような場面では蒸れを感じるかもしれない」
という回答
なるほど、確かに私は汗をかきやすい体質であり、使用したのは5月とはいえ気温がそこそこ高い日でありました。
また、パタゴニアからは汗を大量にかくような運動量の多い場面では通気性、透湿性に優れる「フーディニエア」の方が適す、とコメントがありました
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てっきり風を防ぎながらも通気することでどんどん蒸れが抜けるようなシェルと思っていましたが、そんな都合の良い製品などあるわけなく、防風性が高く通気性、透湿性より耐候性を重視したウェアでした。
しかし軽さ(約100g)とコンパクトにできる収容性の高さからくる手軽さについてはたいへん満足のいくものでした
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気温が高く湿度も高めであったことも影響?
フーディニの蒸れを感じる要因としては裏地がないことも理由のひとつではないかと思います。レインウェアやハードシェルでは裏地のある3レイヤー(ナイロン等の表地+防水透湿層+トリコット等の裏地)がメインですが、この裏地が蒸れを一旦吸収することで衣類内の蒸れ感を抑える(遅らせる)効果があるそう。フーディニジャケットには裏地がないため蒸れをダイレクトに感じているのかもしれません
ただ、フーディニは裏地もなければ防水透湿層もなない1枚生地。それもかなり薄い生地なので、実際の透湿性は3レイヤーのウェアよりずっと高いものになるので、そこは強く指摘しておきたい部分です
また、裏地なし1枚生地の弱点として汗をかく状況だと肌にペタペタと張りついてしまいます。これも裏地ありのウェアだと肌離れがよく、張り付くことがないため快適性で劣る部分です
下に長袖を着れば問題ないかと思ったのですが、大量に汗をかいた状態だとベースレイヤーにしっかり張り付いてしまいました。
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素材として1.2オンス・リサイクル・リップストップナイロンにPFC不使用の耐久撥水。あまり私は興味ない(すいません)のですが、パタゴニアらしい環境に配慮した素材です。アウトドアウェアだと糸の細さや生地の厚みの指標としてデニールで表記されることが多いような気がしますが、パタゴニアは重さを示すオンスで表記しています。要は軽いナイロン生地を使ってます、ということだと思います。
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過去にはプリントロゴのモデルもあるようです
しかしこの軽い薄い生地ながら耐久性が高く、引っ掛かりにくいツルっとした表面生地の影響もあると思いますが枝や岩に擦れてもまったく破れません。これが登山という環境下だと頼りになるところで、アンバサダーの方々がそろって口にする、これがあれば安心、という言葉も納得するところです
撥水に関しては使用開始1年現在でもまだ残っていますが、PFCを使わない撥水加工ですので近いうちになくなってしまうと思います。例えPFCだとしてもずっと撥水がきくわけでないので、これについては特に気にしていません
一応の補足ですが、防水≠撥水で、撥水は水を弾くだけで水の浸透を防ぐわけではありません。そしてナイロンは吸水する素材なので、撥水がなければ水は滲みてくるし、防水層がなければ肌面に水を通します。フーディニジャケットは防水層のない1枚生地なので当然「防水」ではありません
たまに「防水」と紹介している記事がありますが、それは間違いであると明言しておきます
収納は胸ポケットに折り返して格納することもできますし、おりたたんでフードに収容することも問題なくできます。
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ポケットに収容するとシワシワになるのが難点ですが、とても小さくできるので街中で使う際も持ち運びにとても便利です。シワシワになったとしてもしばらくハンガーにかけておけばすぐシワは取れます(長期間ポケット収容した場合はわかりません、、、)
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ちなみに山では丁寧に折りたたむのが面倒なときは適当に丸めてザックのサイドポケットに突っ込んでおいたりもします。まったく嵩張らないのはこのウェアの大きな利点ですね~
最大の特徴である耐風性については、とりあえず家のサーキュレーターで試してみました。我が家にはバルミューダのサーキュレーターがあるので、この強力な風をどの程度防ぐことができるのか、、、
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グリーンファンテクノロジー
真正面にフーディニを置き、手をウェアの内側に入れてサーキュレーターを最大風力で動かしてみたところ、、、
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少し空気の動きを感じますが、風はほとんど防いでいます!
こんな薄いのになぜこれだけ風を防げるのだろうか
実際の山では、風速8~9mぐらい標高3000m付近の環境においてもしっかり風を防いでくれました。フーディニを着ていなかったらたとえ動き続けていても凍えていたように思います
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しかし、行き会った欧米の方は半袖、半パンツで平然と歩いていました。同じ人類か?
冬山でも防風性をしっかり発揮してくれました。雪が降るような荒天でもない限り十分使うことができます
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気温は氷点下、風もそこそこありましたが、しっかり
プロテクションを発揮してくれました
透湿性、通気性については体感しにくいこともありよくわからない部分があります。通気については若干あるかな?と思わないでもないぐらい。透湿性は気温が高く湿度の高い夏山のような環境下だとほぼ実感できません。もちろん透湿しているとは思いますが、あきらかに蒸れが抜けてると感じるものではありません。3000m級の山の稜線付近であれば気温が低く乾燥しているため透湿を感じますが、暖かい時期の低山ではまず蒸れを感じてしまうように思います。
逆に気温の低く乾燥した時期ではしっかり透湿してくれるため実に快適に使うことができます。雪の多い冬の山ではもう少ししっかりしたシェルがいいかな?と思うこともありますが、それは人それぞれですかねぇ
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こちらは3レイヤーのソフトシェルなので
サイズ感はこのモデルはタイトフィットなので178センチ78キロの私にはMサイズではちょうどぴったり。購入時にパタゴニアの店員さんからは山で使うなら下に服を着込むことも考えるとひとつ上のサイズがよいかもしれない、とのアドバイスをもとにLサイズを使っています。その結果、特に夏のように下に着るのが薄手のベースレイヤーのみのような状況では少しゆとりのあるサイズ感。化繊ジャケットを下に着たりするとちょうどよいぐらいでした。
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店員さんは使う状況にあわせてサイズ違いで2着フーディニを持っていると言っていたのでそんな使い方もありかもしれません(←ランニングに使う際はぴったりサイズ、山で使うならひとつ上のサイズという使い方だそう)
風をしっかり防ぐならぴったりサイズの方が良いのですが、ピチピチ過ぎても苦しいので悩ましいところです
フーディニジャケットは定番ですが、ウインドシェルというカテゴリーは各アウトドアメーカーが力を入れており、後発品にはフーディニの弱点などをカバーした商品が展開されています
例えばティートンブロスのウインドリバーフーディ
1枚生地ながら裏面に特殊なデコボコの加工をすることで発汗時にも肌離れが良いようになっているそう。生地も耐風性と通気性のバランスに優れているとのこと。通気性に拘るあたりティートンブロスらしい
アークテリクスのスコーミッシュフーディだったり
他、マウンテンハードウェアやノースフェイス、モンベルもウインドシェルを販売していて、どこのモデルもよくできていると思います。
登山というアクティビティにおいて軽くて荷物にならず、それでいて耐候性が高く気軽に羽織ることができるウインドシェル。まだ持っていない方は、この超汎用性のあるウェアを導入してみてはいかがでしょうか!