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【詩】去る者は追わず

やめたいんです
思い詰めた表情でやってきた君
引き留めてほしいなら期待外れというもの
どうせ退職の相談でしょ
 
どうしてわかるんですか
俄然嬉しそうに話しだす
(入社三年目なんて大概そんな時期
組織のことが少しばかり見えるようになり
正義感と我慢の限界の第一波
或いは過労死まがいの働き放題だったり
無論これは君の場合当たらないわね
 
申し訳ないけれど引きとめる気などない
ここじゃないと思ったなら
さっさと卒業して他へ行きなさい
どうして引きとめないかですって?
自分で頭を使って考えてごらん
 
 (我社で働く気のない人間はお断り、なんて組織じみたことを云う気はな
 い。今どき、組織にコーケンします。なんて優等生面するヤツが使い物に
 なると思う?そんなちっさい人間が、高々三年こっきり在籍しただけで退
 職遺留してもらえるほどの人財なわけがないでしょう。うぬぼれるな。人  
 一人雇うのに手取りの倍の原資が必要だって知らないの?君の手取りは大 
 したことなくても、実際はそれ以上の投資をしているんだよ。それは君を
 雇う時にそれだけの価値があると見込んだから、なんだけどね。)
 
腹が立つでしょう
君には選ぶ自由がある
忠誠を誓う必要も骨を埋める必要もない
引きとめてもらえるかなどと期待しないで
もっと怒ればいい
遠慮はご無用
砂かけてでも
自分の生き様は自分で守りなさい

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柊月 めぐみ
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