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その他二次創作

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記事一覧

last of aden~エデンの果て~3

雨上がりの五月の空は高く澄み渡って透明だった。
セルリアンブルーに、クリスタルを混ぜ込んだ淡い発色を示しながら、空は悠々と大地を覆っている。嫉妬したような雲が一筋、その青さに疵をつけていた。けれどもたなびいた雲も、その空の高さには到底届かない。
底抜けに明るい天上を諦められぬひばりが、一声悲しい声を立てる。その一声が話せる島の井戸前に座っていた、一人の男を立ち上がらせた。
「じゃあそろそろいくよ。

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last of aden~エデンの果て~2

アデン城内の長い廊下を足早に急ぐ一つの影があった。宮中の者は皆、足早に通り過ぎる銀色の外套と、それを包む勇壮な銀騎士の鎧を振り返り、何事かを囁き合っている。端正な顔立ちには似合わぬ皺を眉間にはりつけて、銀騎士は廊下の突き当たりにある重厚な扉を見据えていた。その扉が近づくにつれ眉間の皺は益々濃くなる。やがて乱暴にその扉を開け放って、彼は騎士らしからぬ乱暴な声で部屋の主の名を呼んだ。
「カスパ!」

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過去書いたリニジ系小説 2

覇王ヒロのクランに居た時、「文章書きたい!」つったらいいよって言われたので書いた。taizou×ヒロ。ヒロは「辛い」つってた。

題名はエデンの果て

とある国に王様が居ました。
彼は全ての権力をほしいままにし、沢山の財宝と沢山の美女、そして沢山の家来と一緒に楽しい毎日を暮らしていました。
けれども満足できない王様は、家来に向かってこう言いました。
「あのお城がほしい!戦争をしよう!」
沢山の人間

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過去書いたリニジ系文章

美しい人

私がその名を始めて耳にしたのは、丁度レベル15の試練を終えた頃。
両手にずっしりと重くのしかかるマジックブックを手でなぞりながら、まだ見ぬ大魔法の数々に心躍らせていたときだった。

不意にフラン員の一人がこんな事を口にした。「早くデス・ナイトになれるといいね」と。
デス・ナイト。聴きなれない言葉に遥か彼方を浮遊していた私の意識は集約する。
己の手の中に在りながら一向に見出せぬ大魔法の神

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夏の夜は眼差し

自分の乳房が比較的大きい方だ、と気がついたのは彼と初体験を済ませた後だった。

自分の体に兎角無頓着であった満艦飾マコは、 愛しい彼、蟇郡苛を愛する様になるまで、そして彼に体を預ける仲になるまで、自分の体の特徴を顧みなかった。自分の乳房は他の女性に比べて随分大きく魅力的なものらしい。それを教えてくれたのは他ならぬ蟇郡苛、この純情な、そして生真面目な青年は、何時も顔を赤らめて獣の息を吐きながら、彼女

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愛のコリーダ

亡霊の様な目をしながら、銀時の萎え切った陰茎をまさぐってあやめはその肉の塊を口に含んだ。柔らかいゴムのように自分の口の中で形を変えるそれからは確かに苦い塩の味がした。が一向に硬くなる気配がない。
白み始めた夜の向こうで気の早いカラスが戦慄いている。朝の気配を打ち消すように、舌の先でまた亀頭をまさぐった。
口に含む。口内で柔らかいそれをくるくると転がせる。唾液を十分に塗りつけて、芯のない竿に手を添え

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季節は次々死んでいく

多分pixivに載せます。監獄学園のキヨシ✖️花

抜ける様に空が高くて空気は澄んでいた。
ただ風だけは重苦しいうだる熱気を持っていて地面周りにヘドロの様な熱を貯めている。木陰の中でも肌がじっとりと汗ばんで行く。
粘りを持った汗を片手の甲で拭ったら、掬いきれなかった雫が目尻に飲み込まれた。痛みに俺は片目を閉じる。目尻を指で強く押すと、じんわりとした痛みが流されていく。
私立八光学園の校舎の裏にある

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あだるとびでお

ぶれた画面の中は暗かった。

どうやらどこかの宿の一室らしいが、余りにも暗すぎて状況がよくわからない。掠れたように画面の後ろで揺れていた明かりは青かった。飾りガラスでもはめ込んだランプが灯っているのだろう。

ごちゃごちゃ、とマイクの傍で音が鳴って画面が動いた。白い線を引いて揺れる画面が映し出したのは女だった。柱に手を後ろ手で括りつけられて目隠しをされている。素裸だった。

掠れた液晶の向こうをよ

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亡霊

女は白痴が好いね、とその男は言った。
長閑な小春日和の中、団子屋の軒先で男二人で交わす会話にしては少々毒が強すぎるので、銀時は顔を顰めた。隣に座る線の細い青白い男は、散る桜を眺めながら笑っている。
「俺ァ、馬鹿は駄目だなぁ。何するかわかんねぇだろう」
そう呟いて団子の串に噛り付いた。隣の男の毒で苦くなった口内が、桜団子の程よい甘みでどうにか緩和されていったので、銀時は散る桜に目をやることが出来た。

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