映画「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」がアマプラで無料
「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」がアマプラで無料になっている。ノイタミナでリメイク版「うる星やつら」をやっていたのは2022年、第2期が2024年に放送することが決まった。かくいう僕は2022年版を未視聴で、1981年版だけを、だいたい押井守が製作に関わっている回まで見た。たぶん106話。そこで見るのをやめた。ミリタリーネタがふんだんに使われる回は押井守だったのかな? あんまり記憶にないけどたまにめちゃくちゃ面白い回が現れる。
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エンドレスエイト
「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」とはなんだったのだろう? ケイゾクの映画版で引用され、「這いよれ!ニャル子さん」12話では世界から人が消えるというこの作品のパロディがあった。影響力がめちゃくちゃ強いアニメ映画である。
一般的には高橋留美子作品の脱構築的な作品だと言われ、原作の何度もループされる世界、あたるとラムが周りの人々を巻き込んで追いかけっこする幸せな閉じた世界をメタ的に見て、その夢は作者や読者の幻想が作り出したもの、その夢から抜け出すことがこの映画のテーマになっている。そのおかげで押井守は高橋留美子に嫌われたとかそんな噂も立ってしまった。
「涼宮ハルヒの憂鬱 エンドレスエイト」みたいな作品であるが、涼宮ハルヒがセカイ系を批判した作品と言われるように、同じ構造を持つ話を押井守は1984年に作っていたのであった。
学生運動
しかし、まず押井守の念頭にあったのは60年代の学生運動だったはずだ。「コクリコ坂から」を思い出させるようなドタバタした学生たちの文化祭準備、こうした学生たちの一晩限りの狂騒、泊まり込み、女子生徒の恋バナ、無駄に凝ったミリタリー喫茶を張り切りすぎて先生に怒られ、こういった一過性の夢のような騒ぎは、相米慎二の「台風クラブ」が暗喩しているように台風のようなものだ。学生運動だってそうだった。あれは台風のような夢だったのだ。僕たちは学生運動という夢、新興宗教という夢、セカイ系という夢の醒めきらない延長線上に立っている。
胡蝶の夢
作中、ラムが胡蝶の夢に言及するシーンがある。
この記事でも胡蝶の夢について述べたが、つまりラムは僕たちと共同幻想の夢を見ている。あたるやしのぶや面堂やサクラさんやメガネたちとワイワイはしゃいで遊んで、時には悲しいこともあるが最後にはすべて元通りのループする閉じた世界という夢。
「夢見る人」であるラムは、夢を見るにはあまりにも美しすぎて、見る夢の内容すらも美しすぎるので、いつまでもそっとしておきたい子供のような女の子なのであるが、いつまでも眠っているままじゃ彼女を愛することはできないし、それなら眠り姫みたくいつかは起きなければならない運命にあるのだろう。
ビューティフル・ドリーマーといえば「夢見る人」の題でビートルズやロイ・オービソンなどにも歌われた曲が有名で、原曲はスティーブン・フォスターが1862年に作曲したもの。押井守はこの曲からタイトルを名付けた。