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眠れない夜の美術館~就職できなかったけど学芸員(資格アリ)がご案内~
こんばんは、高塚アカネです。
本当に、天候が悪い日ほど、だるいのに眠れないことがあります。
こんな日に、もし反響があったら、マガジンにしようかな、と企みつつ、新しいコンテンツを書いてみたく思います。
学芸員(就職できなかったけど資格はある)
実は本当に使い勝手に悩む資格を持っています。
学生時代に、本当に実はガリ勉で、学芸員の資格をとりました。
とはいえ…博物館・美術館の学芸員募集はとんでもない倍率…。
一般企業に就職したら、ほぼ使っていない資格になってしまいました。
ただその時に勉強した思いは、アルバイトもしながらだったこともあって、「お金で買ってやったぜこの知識!!」と思うことは多々、ありまして…。
この記事、実は有料級じゃないか? と思いながらも、文化推進のために「アートペディア」などもあることを思うと、宝の持ち腐れ感がひしひし、したので、眠れない夜のお酒の記事と同様、つれづれに美術(デザイン)の話をしようか、と思っています。
本日は、スーラ作、「グランド・ジャット島の日曜日の午後」の話です。
グランド・ジャット島の日曜日の午後
いやいやいや、有名!!という絵画です。
こうした絵画をみるとき、どういった点をご覧になりますか?
絵画を接近してみると、点で書かれていることがわかる。…など技法の方もおられるでしょう。
光と影の陰影で絵が描かれていて、後期印象派の代表作でしょう。…など、美術の派閥に触れる、芸術の方もおられる…と思うんです。
学芸員って、どんなことをするのか、なんですが、この絵を見たときに、「その時代のすべてを語れるか」みたいなところがあった学問だ。…と記憶しています。
時代のすべてとは
こちらの絵画。ウィキペディア先生を引用するんですが、
19世紀末フランスの新印象派の画家ジョルジュ・スーラの代表作である。点描法を用いて、パリ近郊のセーヌ川の中州で夏の一日を過ごす人々を描いた。新印象派、ポスト印象派の時代のフランス絵画を代表する作品でもある。
この、引用文の中にも、語らねばならぬポイントがいくつも、実はあるんです。
「19世紀末のフランス」であるならこの女性は
絵画の、右側の男女を見ていただきたいんですが、「サル」らしき動物を連れた、日傘をさした女性が一番大きく、書かれています。
このサルを連れている、ということから、彼女は「高級娼婦(ドゥミモンデーヌ)」であることがわかるんです。
(サルをつれる=娼婦の意味合いでした。)
かつ、右側に大きく描かれているのに、ものすごく日陰に書かれているのが見えるでしょうか。日陰にいるのに傘をさして、というのが、後ろめたさの現れ…という気持ちすら、してきます。
ジェントルマン(男性の紳士)にとって、昼に連れていく女性が正妻じゃない、というのも、この時代らしいポイントで、社交界の裏側でこうした不倫のようなことが流行していた、というのが、世相を表して絵に表現されているように見えてきます。
なお、ファッションにも少し、その背景がわかるとヒントがあるな、と思います。
「ドゥミモンデーヌ」は高級娼婦、と訳されますが、高級であろうと、その階層は「庶民」です。
その庶民が着られる服である、という点で、このお尻の部分が膨らんだ「バッスルスタイル」が、庶民にも流行したスタイル(貴族にももちろん流行っている)ということが、わかってきます。
(さらに、この女性の腕の部分のふくらみが、貴族にくらべるとおとなしいのも、何となく庶民感が見える、というのもあります)
19世紀末は、一口にいうんですが、実は10~20年くらいの間にきざんで、時代が大きく変わった年代でした。
この先ほどお話した「バッスル」というスタイルは、1870~1890年くらいの流行で、その前後は全く違う流行があります。
バッスルだ! と服を見るだけでも、この間の作品なんだな、ということがわかったりするものなんですよね。
ただこのスタイルはなかなか儚くて、20年くらいの流行の後すぐなくなって、第1次世界大戦に向かっていく(だんだん簡素になるのも戦争にお金をとられて)…という流れがあった、という感じです。
驚きますよね
戦争の話を記載しましたが、1900年くらいまで、コルセットとこのドレスが現役だったんですよね~(;'∀')
戦争の後からなんです。
・スカート丈が短くなって…
・コルセットがなくなって…
・女性がパンツをはくようになって…
・女性がタバコを吸う!!
上記の現象が絵に現れていたら、1914年以降だ、と言えると思います。
(その前だったら、ほぼ皆無だと思います)
だって、…たとえば有名、シャネル。
ココ・シャネルの生まれ年、1883年です!
(バッスル・コルセット、現役ですよ…。)
ここから、イミテーションのアクセサリの考案やら、ブラックドレスを作ったり、なんて…そりゃぁ美術史にものりますな(;'∀')
この時代のあとの美術史ではもう、本当に王道の、ベルエポックから、アールヌーヴォーがせっけんする流れになると思うのですが、この時代もまた…!
絵画、というような額縁の中の世界から、モノづくりの原点に回帰したアーツ・アンド・クラフツなど、「民芸品」のようなものにまで流行が及ぶデザインの一大学問(これだけで専攻の学科がある)を築くような、美術史の中でもアツい分野がやってくるんです~~
長くなってきたので
これを語り始めるととんでもなく長くなるので割愛させていただくのですが、コマーシャルデザインなどが台頭する直前の、リトグラフとかお好きな方とか、おられないでしょうか…(ミュシャとかです)
この分野がもう少し、見ていただける!とわかったら、元がり勉高塚アカネ、記憶のふたをぱかっと空けたいと思います(苦笑)
深夜のテンションで失礼いたしました、
もしもう少し詳しく!という部分があったら、お教えくださいね!!
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