孤独の(いなお)グルメレポート ~大洋でビーフ~
『日本で一番やさいを作っている街』は、どこか?
…この問いにすぐに答えられる方は
なかなかの農業通ですね。
正解は…茨城県の南東部、鉾田(ほこた)市!
厳密には磯山さやかさんは水戸市生まれで、
育ちが鉾田市(旧鉾田町)の方です。
高校生時代には
「鉾田二高」野球部のマネージャーを務め、
母校が県大会で勝ち進んでいた年には
OGとして部に差し入れをしたとか…。
そう言えばお笑い芸人の
「カミナリ」のお二人も鉾田市出身。
意外と?有名人が多い街なんです。
…ただしいきなり、鉾田、と言っても
すぐにピンと来る方は少ないのでは。
位置としては、
「水戸納豆」で有名な水戸市と、
「鹿島アントラーズ」の鹿嶋市の
ちょうど中間点あたりにあります。
東は太平洋、北は涸沼、南は北浦。
涸沼は「ひぬま」で、しじみが美味しい。
北浦は、霞ヶ浦の東にある湖です。
海と湖沼に囲まれた、一年中温暖な地域!
内陸部のほとんどは平坦な地形で、
とにかく農業が盛んなのです。
『近郊農業』のお手本のような街ですが、
大都会東京だけではなく、今では日本中に
鉾田産の農産物が送り届けられています。
メロン、いちごに、トマトにみず菜。
かんしょ(さつまいも)、ごぼうも採れる…。
いずれも生産量がとても多い。
鉾田市は全国屈指の農業産出地であり、
「市町村別農業産出額一位」に
輝いたりもしている街なのです。
…私は先日、この鉾田の街を訪れました。
茨城県では、南北を縦断する形で
「常磐道」と「常磐線」が走っています。
福島県との境、北茨城市から日立市~水戸市~
笠間市~石岡市~土浦市・つくば市からの
千葉県との境にある取手市や守谷市へ…。
このタテの交通のラインを
茨城県の「縦軸」とするならば、
鉾田はこのラインから東に外れている。
要は、何か用事でもない限り、
なかなか訪れにくい場所にあるんですね。
水戸~鹿嶋の間ですから。
そもそも「鉾田市」そのものも、
昔からあった市ではありません。
2005年に「旭村」「鉾田町」「大洋町」
この三つの市町村が合併して
「鉾田市」が誕生した。
2018年にようやく「鉾田IC」ができて
高速道路が使えるようになった街…。
…いや、それがですね、
鉄道が通っているんですよ。
それが「鹿島臨海鉄道大洗鹿島線」。
水戸駅~鹿嶋市間をひた走る
「ザ・ローカル線!」で、
何とも趣きのある路線です。
文字通り「臨海」を走ります。
水戸駅から言えば、東南に向かって
大洗という海水浴場などで有名な町を通り、
鉾田経由、太平洋岸を経て、
じきに港のある鹿嶋市へと行きつく路線…。
1985年に水戸~鹿嶋全線が開通しました。
列車は通常2両のワンマン運転。
途中の駅は、大洗駅と新鉾田駅を除けば
そのほとんどが「無人駅」です。
…そのうちの一つである「大洋駅」を
私は訪れました。
鉾田市を形成した市町村のうちの一つ、
「大洋町」にあった駅。
この町は鉾田市の一部になっており、
市の南部にあります。
無人駅ですので、改札はありません。
何のとがめも受けずにホームに入れる。
跨線橋に鉾田市のガイドマップがあった。
このマップには、美味しそうな野菜の写真や
文化財、温泉施設などが掲載されていました。
…しかし私は、このマップには無い
とある歴史に想いを馳せる。
この旧大洋町は、いわゆる
『バブル景気~バブル崩壊』の波を
もろにかぶった町なのです。
乱開発で小規模な「別荘」が
凄まじい勢いで建てられてしまった。
地価は必ず上がる。永遠に下がらない!
そんな神話が信じられていた時代でした。
空前の「開発ブーム」に乗って、
外の業者が山林を買い取っていきます。
折りからの「別荘ブーム」に乗じて、
その山林は「首都圏近郊の別荘地」として
どんどん転用されていったのです。
建てれば、売れる!
「サラリーマンでも買うことが出来る別荘」…。
そんなキャッチフレーズまで作られた。
そんな目論見は、しかし、
バブルの崩壊により、泡と消えます。
たくさんいた開発業者の多くは倒産した。
現在ではそのほとんどが手を引いている。
乱開発の傷跡。うたかたの空き家…。
「別荘地が廃墟に!」
という衝撃的なタイトルをつけられて、
TBSの番組で取り上げられたほど。
ただ、そのような過去は、
逆に現在のチャンスだ、
という捉え方もできる。
とにかく相場よりも安いんですね。
もちろんバブル期に建てられた物件は
「リノベーション」が必須なのですが、
セカンドハウス・二拠点生活の拠点として
活用する人もいる…とのこと。
私はそんな「旧大洋町」の栄枯盛衰に
想いを馳せていた。しかし、そのうちに、
と『孤独のグルメ』のゴローさん的な気分に
なってしまいました。
近くの洋食屋さんへと足を向ける。
トップ画像の料理は、
『洋食ダイニング 集(しゅう)』という
お店の料理です。
大洋駅から徒歩約10分。
お店自体は新しいのですが、
もともとは1989年(バブルの頃)創業の
「にっぽんの洋食江戸一」という
お店が源流、とのこと。
この前身の店のオーナーの次男の方が、
伝統の味を守っているそうなんですね。
…何の味か?
「秘伝のデミグラスソース」です!
メニューを見ると
「お店のイチオシ!」として
『ビーフシチュー』が目に飛び込んできた。
メニューのトップは美味いはず。
私はビーフシチューを頼みました。
今季、初シチュー。
さて、吉と出るか、それとも…。
運ばれてきたお皿を、一目見た。
「ああ、勝ち確定だ。これは勝ち確だ…!」
と私は思いました。
見るからに美味しいデミグラスの海に、
牛肉たちがどすんと煮込まれ、泳いでいる!
ポテトにグラッセ、いんげんの
コントラストもいい。
うん、いかにも洋食然とした一皿だ。
…まさか、これで1,000円台前半とは!
私の中でビーフシチューは、
『しょうが焼き』以上で
『うな丼』未満の価格帯のイメージです。
ちょっとしたごちそうなんですよ。
そうそう頼めない。
2,000円を超えてくる強気な店も多い。
それが、このお値打ち価格…!?
気軽に、お箸で食べられました。
とろっとろ。お箸でほどけるレベル。
これをライスにオンザして、
一口食べた時に広がる幸福感たるや、
それはもう…!(牛だけに)
最後にまとめます。
「やさいの街」でのあえての選択。
とろけてほどける美味ビーフ…。
ほのかな苦味が隠し味。
本記事では、茨城県鉾田市にある
『集』の「ビーフシチュー」を
レポートしてみました。
移りゆく栄枯盛衰、変わらぬ自然。
ぜひ皆様も機会があれば、旧大洋町を
鹿島臨海鉄道大洗鹿島線や
マイカーで訪れてみてはいかがでしょう?
自然の恵みが「集」まってくる街です。
…ちょっとした別天地を味わえますよ!
※『洋食ダイニング 集』の
食べログのページはこちら↓
※旧大洋村(現鉾田市)の
建売「ミニ別荘」ガイドはこちら↓
※『【鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線 乗車記】
のどかな農地と湖沼の風景が魅力的な
非電化ローカル線!』の記事はこちら↓
※磯山さやかさんが愛犬リリーと
鉾田市でメロン狩りする動画はこちら↓
合わせてぜひどうぞ!