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2023年10月26日のドラフト会議において、
広島東洋カープは
青山学院大学の常廣(つねひろ)投手
第1位で指名しました。

「つね」に「ひろ」しま。
名前からして、カープに
縁のありそうな選手です。

競合の末、新井監督が当たりくじを引く。
力強いガッツポーズ!
「菊池にスクイズのサインを
出した時よりも緊張しました」
喜びが、端々ににじみ出ていました。
1位指名を公言した上での指名権獲得。

監督は、早速、青山学院大学に向かう。

ドラフト1位での指名と言えば、
やはり華があります。晴れ舞台!
監督と選手とのインタビュー、
などもセッティングされるものです。
そこで常廣投手と話をしている時に、
とある事件が起こったのです。

本記事では、この事件について
書いてみたいと思います。

インタビューが進んでいき、その最中に、
観客席から、その話が聞き取れないほどの
大歓声が上がりました。
楽天の第6位で、同じチームの
中島(なかしま)選手が
指名された
のです。

…さて、もし皆様が新井監督の立場だったら
どう思うでしょうか?
私だったら、と考えてみました。

せっかくの晴れ舞台です。
第1位へのインタビューなのです。
それが、自分のチームの指名ならともかく、
他球団の指名によって、
歓声で中断させられてしまった。

もちろん、ドラフトは進んでいましたから、
そういうこともあるだろうと
想定はあったかもしれません。
しかし、第1位の選手へのインタビュー中。
歓声が収まるのを待ち、
改めて常廣投手に対する質疑応答を
進めていたかもしれません。
内心、せっかくの第1位の舞台を
邪魔するなよ…と思うかもしれない。

しかし。

新井監督は、違う。

常廣投手に、何が起こったのかを
事細かく聴いていきます。
彼も自分のチームのことですから
こういう事情です、と話をしたことでしょう。

「うちのチームに、主将の
中島という外野手がいて、
6位で指名されたんです」

そう新井監督に説明したのではないか。

ここで監督、何と、他球団が指名した
第6位の選手に向かって、
マイクで会場全体にコメントした。
この雰囲気を、記事から引用します。

(ここから引用)

『新井監督が記者の質問に答えている最中に、
会見場にいた野球部員から
「オーーー!」と割れんばかりの
喝采が沸き起こった。
まだ名前が呼ばれていなかった中島が
楽天から6位指名され、
仲間から手荒い祝福を受けた。

新井監督は一瞬困惑した表情を見せたが、
横にいた常広が事情を説明すると、
大きな声で
「中島くん、中島くん、中島くん!」と
3度呼びかけた。続けて、

「中島くん、楽天入団、おめでとう!」と祝福。

「ワー!」と部員が沸き立つ中、
「頑張ってね!
オープン戦や交流戦でお会いしましょう!」と
これから敵となる選手に対し、
粋なエールを送った。

中島は恐縮したような表情を見せつつ、
笑顔で頭を下げ感謝を示した。』

(引用終わり)

これはぜひ動画でも
見て頂きたいワンシーンです↓

どうですか、この対応!
素晴らしい、と私は思いました。

他球団が6位で誰を指名するかは
わからないわけですから、
まさにとっさの判断、
とっさの行動であったと思います。
敵チームに所属する選手にエールを送る…!
これぞ新井監督、アライサンだ!

中島選手も嬉しかったのではないか。

自分が指名されたことで
わざわざ大学まで足を運んで
第1位の常廣投手と話している
新井監督の舞台を中断させてしまった。
もちろん故意ではなく
全く中島選手は悪くないのですが、
下手すると、後から
何か言われてしまうかもしれない…。

それを、アライサンが
エールを送ってくれたことで
会場の中の誰もが笑顔になったのです。
丸く収まる、祝福の場になったのです。


これぞ新井監督の真骨頂!
「人柄」だと思います。
今シーズン、多くの野球解説者が
カープの最下位を予想する中で、
選手をやる気にさせ、奮い立たせ、
リーグ2位に押し上げた魅力…。

恐ろしいほどのムードメーカー!

思えば新井監督ご本人も、第6位で
ドラフト会議で指名された選手
なのでした。

しかも駒澤大学OBに頼み込み、
自分のバットスイングを
アピールした上での指名だと言われています。
ほとんどコネ的な入団。
しかし入団後、猛練習で実力をつけ、
名選手となり、新進気鋭の監督へと
変貌した人物なのです。

2011年の東日本大震災の後には、
労組プロ野球選手会会長として、
開幕の延期を強く要望し、
一選手の身でありながら
問題解決のために各地を奔走した、
という苦労人でもあります。

だからこそ出せる、とっさの一言。
「頑張ってね!
オープン戦や交流戦でお会いしましょう!」
こんなことを言われたら、嬉しい。
ましてや、指名されるかどうか
不安と絶望に圧し潰されそうな中
では…。

(ここから引用)

『その後の会見で中島は
「凄く嬉しかったですし、
それを狙っているかのような
タイミングだったので
良かったかなと思います」と笑顔。

一方、降壇後には
「正直、それどころじゃなかった」と
本音も吐露。
指名終了していく球団も出てくる中、
「もう呼ばれないかも」と
不安が大きくなっていたことを明かした。

広島から1位指名を受けた常広は、
新井監督の訪問前に行われた会見の中で
監督の印象について
「素敵な人、人間性のある監督だなと思います」
と口にし、初対面後も
「とても素敵な方だなと思いました」
と繰り返していた。

その直後にあった監督な粋な行動。
図らずも「素敵な人」という
印象を裏付けた形だ。』

(引用終わり)

最後にまとめます。

本記事では、カープの新井監督の
素敵な行動、とっさの一言を紹介しました。

なお、青山学院大学から
2023年ドラフトで指名されたのは、三人。

◆中島大輔選手(総合文化政策学部4年)
◆下村海翔選手(コミュニティ人間科学部4年)
◆常廣羽也斗選手(法学部4年)


本記事では触れませんでしたが、
下村選手は阪神タイガースに
単独1位で指名されています。

身長174センチの「小さなエース」!
日米野球でMVPまで取った逸材です。

楽天の中島、阪神の下村、広島の常廣!

チームは違えど、
プロへの舞台への道が開かれた
この日のことは、一生忘れないでしょう。
それを小粋に演出した新井監督のことも…。

ひとたび入団すれば、何位かは関係ない、
実力勝負の世界になります。
新井監督自身が、それを証明してきました。
三人とも、ぜひ頑張って下さい!

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