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落合陽一の全く優しくない対談本
今日取り上げるのは、落合陽一、清水高志、上妻世海の3名による対談本、『脱近代宣言』である。
失礼ながら、落合陽一氏以外のお二方についてはこの本で初めて知った。
知らない人たちが、読者に分かりやすく解説するでもなく話を進めるその様子が、さながら会話を盗み聞きしているような錯覚に陥った次第である。
一般に、対談本と言えば、誰かは読者の立場で分かりやすく噛み砕く役を担っていることが多い。
落合陽一氏の話す内容は専門性が高く、また用いる単語が独特なので慣れるまでは大変である。
だからこそ、本書を対談本と聞いてそれを分かりやすく解説してくれる優しい本だと思ったら大間違い、痛い目を見る。
ただ、落合氏が話す様子を見て普通の人より早口だったり、聞き慣れない単語が多く出るからといって全ての情報をシャットアウトせず、少なくともそれぞれの単語が何を意味しているのかが分かれば、一般向けに出版された本に書かれている内容は実はそんなに難解なものではない事が分かる。
ましてや、本ならスピードの問題は関係ないし、巻末に注釈も付いているので、じっくり読めばきっと理解出来るはず。
とは言え、落合氏を理解するための最初の一冊としては不適切なので、まずは一旦置いて、『魔法の世紀』から読んでみて欲しい。