サイモン&ガーファンクル 「ANJI」
雨の日。
どうしたものか雨の日には、バラードが聴きたくなる。ピアノもよいし、アコースティックギターもよい。
でもやはりアコースティックギターの響きを選択してしまう。
もう何十年前だろうか、北海道に季節外れの春の雨が降り続いたことがある。連休のころだったが、元々娯楽が乏しい田舎町ゆえ、雨だからと言って何かあるわけでもなく、部屋に寝転がりぼんやりとしていた。
雨粒がベランダに落ち、規則的な音を立てている。
階下からかすかに食事の準備をする音が聴こえてくるが、それ以外は物音がしない。
ふと、サイモン&ガーファンクルの全集から「サウンドオブサイレンス」を聞こうと思った。
静けさの音とは、今日のこの時間にピッタリだと思ったのだ。なじみの曲が流れてくる。
雨はまだ止まず、規則的な雨音が聞こえてくる。
と、あるアコースティックギターの印象的なメロディがステレオから流れてきた。
「アンジー」というそれの、悲しげな響きは、今日という日のその時間に調和していた。
雨粒の立てる音にアコースティックギター。
この二つの音は、意外にも調和する。そんなことを感じた。
音の調和。
雨はまだ止まず、規則的な雨音は永遠に続くかのように響きつづけていた。アコースティックギターの響きを伴奏にして。
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