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河瀬直美監督作品「萌の朱雀」

河瀬直美監督の映画を久々に見たらデビュー作、萌の朱雀を思い出す。

昔書いた記事↓
有料にしちゃってるので、一部抜粋。


強烈に匂いを感じる映画ですね。
この森の匂いって、そこにすんでいなくても
山に親しんだことのある人なら一度はかいだことのある匂いなのかもしれません

なんだか懐かしいなあと思ってみていると、
一昔前の日本で起きた核家族が離散していく様を
自然体で描いた映画だったんですね。

朱雀とは古典で言うところの鳥ですね。
萌とはすなわちこの吉野の山々のことでしょうか

山に暮らす人々にとってはそこでの生活がすべてで
それ以外のことは生活の中心にはなりえない
なので、そういう人たちが、自分の生活の
中心においていた事柄が、頓挫してしまったら・・
生きる意味すら失ってしまうのかも知れません

ましてや、奥深い山々の奥地。
若者ならいざしらず、ここで根を張った人々は
やすやすと下界には下りて行けませんし。

この映画の主人公の女の子はこういった世界で育ち
こういった世界の”悪いところ”を垣間見ていく。

萌は山々のこと。
朱雀とは鳥のこと。
と考えるならば

あの悲しい出来事も悲しい結果も
もしかするとこの女の子を、もっと幅広い世界へ
羽ばたかせるための通過点だったのかもしれません。

そのとき女の子を誘ったのが
萌の朱雀だったのか・・・
それとも彼女自身がそれ自体だったのか

なんとも深い味わいを残す作品ですね
落ち着いた休日の夜にでもゆっくり見るのが良いですね、きっと。

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