侮辱
侮辱は怒りの最大の原因。
とは言えないかもしれないが、
侮辱されて怒らない人は少ないだろう。
侮辱されることは大多数の人にとって、
怒り、反発、嫌悪、発奮の大きな原因と言えるだろう。
ただし、侮辱した人がそれに気づいているとは限らない。
私は学部生時代、
進路を語り合っている場で、
大学院生として着々と研究者への道を歩んでいるM先輩から、
君は研究者に向いていないというようなことを言われた。
言われたことを、半世紀余り経った今も、忘れない。
それが発奮のエネルギーになったので、感謝してもいいかもしれない。
M先輩は、それを言ったことを覚えてないだろう。
侮辱する気で言ったのではなく、
適切な進路を選ぶための助言として、
そう言ってくれたのだろう。
侮辱された!と感じたのはぼくなのだ。
それは、M先輩の問題ではなく、
ぼくの気持ちの問題なのだ。
ぼくの受け止め方の問題なのだ。
そう思うに至って、
半世紀余り抱えてきた悔しさが溶けたような気がする。
そう考えると、
率直にものを言う癖があるぼくは、
あちこちで、M先輩と同じことをしてきた可能性がある。
率直に発言することはいいことかもしれない。
が、いいことばかりではないかもしれない。