階下から聴こえるギターの音色④(後編)ことばのむこうの
※本記事の前編はこちら
いくつかのトラブル
ひさひざの満員電車
さっき出掛けに買ったサンドイッチが
鞄のなかでつぶれないよう守った。
この店のサンドイッチは、オープン以来
ずっと食べたかった。
住む街の店で、自宅から
自転車圏内だけどなぜかタイミングなく
こんな流れになるとはね、と
ともに荒川にかかる陸橋を渡った。
イベント前に食べる時間はなくなったけど
終わったら、どっかで食べるね。
と、森から連れてきた雛鳥をなでるみたいに
サンドイッチに
(心のなかで)呟いた。
そして!
そのあとはスムーズに到着し
参加できたイベントは、
ほんとうに楽しく、
近藤さんとのやりとりも心地よくて……
クリスさんのお喋りを聴きながら
なぜ自分がここに来たかったのかが
クリアに見えた。
クリスさんに聞きたい質問も
はっきり浮かび
トーク後の質疑応答で
どきどきしながら手を挙げた。
言葉のそのむこうを見る
感性をどのように育まれたのか。
これをはっきり自分自身のうちに
立てられたことが大事だった。
たぶん。
この一年の標になりうる。
クリスさんが淀みなく
わたしの問いに答えてくれていたことも
嬉しかった。
わたしのほかにあと二人の質問があった。
食のことと
時間のこと。
レポートはまとまらそうになく
クリスさんのトークで得た
わたしの反応レポだな。でもいいか。
さっきから脳内で
自分につっこみをいれるように聞こえる。
昭和時代にヒットした「チャチャチャ」
にのせていろんな”あるある”をいうのに
なかなか本題に辿り着かない
レイザーラモンさんのネタが!
早く言いたいー
クリスさんが何て言ったか
早く言いたいー
メモから並べますよ。
あなたはどこに反応するだろう?
クリスさんのおはなしは
終始、本質的な豊かさと
つながっていることを感じた。
とくに、時間のことは
目頭が熱くなった。
タスクとミッションの違いについて
話題になったPodcast聞いたばかりだけど
そう、クリスさんが
食を、感謝を表現するいい機会だと
仰ったのは、とても開かれていて
いいなあ。
好きなものを食べたいのだと聞いて
鞄のなかのサンドイッチを想い
共感を深めた。
やっぱり日々は、
慌ただしくて煩雑で
わずらわしいこともたくさんあるけど
それでしかたどりつけないことがある。
有限のなかで
どういう時間をどういう心持で過ごすか。
なにかをとびこえては体得できない。
何者でもなく
自分になるということも。
自分が自分にしてあげられることを
なるべくして
あとは、
ひびきあう。
「年々、桜よりも梅がすきになる。
梅に楽しませてもらっています」と
クリス智子さん
そんな写真をたくさん紹介しておられた。
この記事を書いていたある日
おむかいさんの庭の
梅の蕾がふくらんでいるのに気づいた。
大寒の数日前。
芽吹くときのことは
おてんとうさまにおまかせしてると
年老いた梅は
話してるみたいだった。
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