【004】雨変身
雨と、雨。
本音が漏れて、僕の両手には何も残らない。
、、、何も、何も。
叫んだとて、世界は少しも変わらない。
変声期真っただ中のみにくいアヒルみたいな音なんて、ノイズですらない。
握りしめた傘の柄に熱が移って、僕は透明人間になる。
何をしても、何もない。
透ける、通り過ぎる、見えない、見られない。
愛の形も、恋の熱も、全部、透明、僕と同じ。
この世界を抜け出すことだって簡単だ。
もっと、いや違う、もっと、もっと先誰もいない、知らない場所へ行こうか。
朽ち果てた自転車を飾り付けて、歌いながら、空気をゆがめて。