見出し画像

認知症の理解②「中核症状と周辺症状」

『ReStudy:大人のためのオンライン学習塾』のコンテンツの一つ。
AI個別授業では生徒さん個々の苦手科目に合わせて、その都度要点テキストを作成しています。

今回はReStudyの生徒さんから、『認知症の理解』についてご質問があったため、AIを活用して個別授業のために作成した教材を無料公開します。

介護福祉士国家資格取得を目指す方など、簡単に要点を掴みたい方の参考になったら幸いです。

詳しく理解したい方は、下の厚生労働省さんのページなどをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/seisaku/19.html


【ReStudy:大人のためのオンライン学習塾】

ReStudyは自分軸形成×学習コーチングで
『頑張らずに学習時間をつくり、働きながらでも資格取得を目指す』
大人の学びを立て直すためのオンライン学習塾です。


詳しくはこちらをご覧ください。
https://hps-restudy.my.canva.site/


認知症の中核症状と周辺症状 - 試験対策テキスト

認知症の中核症状

認知症の中核症状は、認知機能の低下によって直接的に引き起こされる症状を指します。以下に主要な中核症状を挙げます。

1. 記憶障害

  • エピソード記憶の低下: 最近の出来事や新しい情報を覚えられない。

  • 短期記憶の障害: 数分前に話したことや行動したことを忘れてしまう。

  • 長期記憶の障害: 過去の出来事や経験を思い出せなくなる。

2. 見当識障害

  • 時間の見当識障害: 日付や季節、時間がわからなくなる。

  • 場所の見当識障害: 自分がいる場所や住んでいる場所がわからなくなる。

  • 人物の見当識障害: 身近な人や家族の顔や名前がわからなくなる。

3. 理解力・判断力の低下

  • 論理的思考の低下: 簡単な計算や論理的な判断ができなくなる。

  • 計画力の低下: 予定を立てたり、複雑な作業を計画的に進めることが難しくなる。

4. 実行機能障害

  • 行動の連携が取れない: 複数のステップが必要な作業ができなくなる。

  • 日常生活の困難: 服を着替える、食事を準備するなどの基本的な生活活動が困難になる。

5. 言語障害

  • 語彙の減少: 適切な言葉が出てこなくなる。

  • 話す速度の低下: 会話が途切れ途切れになる。

  • 理解力の低下: 相手の話している内容が理解できなくなる。

6. パーセプチュアルモータースキルの低下

  • 動作の不器用さ: 物を持つ、歩くなどの動作がぎこちなくなる。

  • 空間認識の障害: 物との距離感や位置関係を把握できなくなる。

※「パーセプチュアルモータースキル(Perceptual-Motor Skills)」とは、感覚と運動の統合に関するスキルを指します。これは、視覚、聴覚、触覚などの感覚情報を基に、適切な運動を行う能力です。具体的には、物を持つ、書く、歩く、料理するなどの日常生活で必要な動作が含まれます。

パーセプチュアルモータースキルの例

  1. 視覚と手の協調(手眼協調)

    • 物を見て、それを手で掴む。

    • 文字を書く際にペンを適切に動かす。

  2. 身体の動きと空間認識

    • 障害物を避けながら歩く。

    • スポーツでボールをキャッチする。

  3. 微細運動技能

    • ボタンをかける。

    • 糸を針に通す。

  4. 粗大運動技能

    • 走る、ジャンプする。

    • 重い物を持ち上げる。

認知症におけるパーセプチュアルモータースキルの低下

認知症では、感覚情報の処理と運動の統合がうまくいかなくなることがあります。これにより、以下のような問題が発生します。

  • 動作の不器用さ: 簡単な手作業が困難になる。

  • 空間認識の障害: 物との距離感や位置関係が把握できなくなり、歩行中に転倒しやすくなる。

対応策

パーセプチュアルモータースキルの低下に対しては、以下のような対応策があります。

  1. 環境の整備

    • 転倒や事故を防ぐために、家具の配置を工夫する。

    • 物の配置を分かりやすくし、必要な物を取りやすい位置に置く。

  2. リハビリテーション

    • 作業療法士によるリハビリテーションを受ける。

    • 手先の器用さを保つための簡単な作業や運動を行う。

  3. サポート用具の利用

    • 歩行補助器具やグリップの良い食器を使用する。

    • 衣類の着脱がしやすいように工夫されたものを選ぶ。

これらの対応策を通じて、認知症の方ができるだけ自立して生活できるよう支援することが重要です。

認知症の周辺症状(BPSD: Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)

周辺症状は、認知機能の低下に伴い、二次的に発生する心理的・行動的な問題を指します。以下に主要な周辺症状を挙げます。

1. 幻覚・妄想

  • 幻覚: 存在しないものが見える、聞こえる(視覚や聴覚の幻覚)。

  • 妄想: 他人が自分に害を与えると思い込む、物が盗まれたと思い込む。

2. うつ状態

  • 抑うつ: 気分が落ち込み、意欲や興味が低下する。

  • 不安: 漠然とした不安感が強くなる。

3. 攻撃的行動

  • 暴力: 他人に対して暴力を振るう。

  • 怒りやすさ: 些細なことで怒りやすくなる。

4. せん妄

  • 意識の混濁: 日中に眠気が強くなり、夜間に活動的になる。

  • 注意力の低下: 集中力が続かない。

5. 不眠

  • 睡眠リズムの乱れ: 夜間に眠れず、昼間に眠くなる。

  • 入眠困難: 寝つきが悪くなる。

6. 異食行動

  • 食行動の異常: 食べ物でないものを口に入れる。

  • 過食や拒食: 食事量が極端に増えたり減ったりする。

7. 徘徊

  • 目的のない歩行: 特定の目的がないまま歩き回る。

  • 家出: 家から出て帰れなくなる。

中核症状と周辺症状への対応

中核症状への対応

  1. 記憶障害への対応

    • 視覚的なメモやカレンダーを使用してサポート。

    • 簡単な言葉で繰り返し説明する。

  2. 見当識障害への対応

    • 時計やカレンダーを見やすい場所に置く。

    • 定期的に時間や場所を確認する習慣をつける。

  3. 理解力・判断力の低下への対応

    • 簡単で明確な指示を出す。

    • 選択肢を少なくすることで混乱を防ぐ。

  4. 実行機能障害への対応

    • 作業を小さなステップに分けて行う。

    • 視覚的な手順書やイラストを使用する。

  5. 言語障害への対応

    • ゆっくり話し、簡単な言葉を使う。

    • 身振り手振りを加えて伝える。

周辺症状への対応

  1. 幻覚・妄想への対応

    • 落ち着いて話を聞き、否定せずに共感する。

    • 安全な環境を整える。

  2. うつ状態への対応

    • 余暇活動や趣味を楽しむ時間を設ける。

    • 適度な運動を促す。

  3. 攻撃的行動への対応

    • 刺激の少ない環境を提供。

    • 安全を確保し、適切な距離を保つ。

  4. せん妄への対応

    • 環境を一定に保ち、変化を避ける。

    • 規則正しい生活リズムを心がける。

  5. 不眠への対応

    • 日中の適度な活動を促す。

    • 就寝前のリラックスできる環境を作る。

  6. 異食行動への対応

    • 食事時間を定期的に設定。

    • 食べ物でない物を手の届かない場所に置く。

  7. 徘徊への対応

    • 家の中や庭に安全な歩行ルートを作る。

    • 外出時には身元確認ができるものを持たせる。

介護福祉士の役割

中核症状と周辺症状に対応するためのスキル

  1. 観察力: 日々の行動や症状を観察し、記録する。

  2. コミュニケーション能力: 患者や家族と効果的に情報を共有し、共感を示す。

  3. 柔軟性: 状況に応じて対応を変える能力。

  4. 知識のアップデート: 認知症ケアの最新情報を常に学び続ける。

家族との連携

  • 家族教育: 認知症について家族に理解を深めてもらう。

  • サポート体制: 家族の負担を軽減するためのサポートを提供する。

このテキストを基に、認知症の中核症状と周辺症状への理解を深め、適切なケアを提供するための知識を身につけましょう。


認知症の中核症状と周辺症状 - 確認テスト①選択問題

問題1

認知症の中核症状に該当するものはどれか。
a) 幻覚
b) 記憶障害
c) 徘徊

問題2

認知症の見当識障害に関する正しい説明を選びなさい。
a) 記憶の一部が欠ける状態
b) 時間や場所、人物がわからなくなる状態
c) 動作がぎこちなくなる状態

問題3

理解力・判断力の低下に該当するものはどれか。
a) 簡単な計算ができない
b) 目的のない歩行
c) 幻視が見える

問題4

認知症の実行機能障害の例として正しいものを選びなさい。
a) 日付や時間がわからなくなる
b) 複雑な作業ができなくなる
c) 他人が自分に害を与えると思い込む

問題5

認知症の周辺症状に該当するものはどれか。
a) 言語障害
b) 記憶障害
c) 幻覚

問題6

認知症の幻覚・妄想への対応として適切なものはどれか。
a) 患者の話を否定する
b) 落ち着いて話を聞き、共感する
c) 言葉を発するのを避ける

問題7

認知症の中核症状と周辺症状の違いについて正しい説明を選びなさい。
a) 中核症状は認知機能の低下による直接的な症状、周辺症状は二次的に発生する行動・心理的な問題
b) 中核症状は行動・心理的な問題、周辺症状は認知機能の低下による症状
c) 中核症状と周辺症状は同じ意味である

問題8

レビー小体型認知症に多く見られる周辺症状はどれか。
a) うつ状態
b) 幻視
c) 不眠

問題9

認知症の実行機能障害に対する対応として適切なものはどれか。
a) 作業を小さなステップに分けて行う
b) 刺激の少ない環境を提供する
c) 余暇活動を楽しむ時間を設ける

問題10

認知症患者の徘徊への対応として適切なものはどれか。
a) 外出を完全に禁止する
b) 家の中や庭に安全な歩行ルートを作る
c) 何もしない


解答と解説

解答1

b) 記憶障害
解説: 中核症状は認知機能の低下による直接的な症状であり、記憶障害はその一例です。

解答2

b) 時間や場所、人物がわからなくなる状態
解説: 見当識障害は、時間や場所、人物がわからなくなる状態を指します。

解答3

a) 簡単な計算ができない
解説: 理解力・判断力の低下には、簡単な計算ができない、論理的思考ができないなどが含まれます。

解答4

b) 複雑な作業ができなくなる
解説: 実行機能障害は、複雑な作業や計画的な行動ができなくなることを指します。

解答5

c) 幻覚
解説: 周辺症状は認知機能の低下に伴う二次的な行動・心理的な問題であり、幻覚はその一例です。

解答6

b) 落ち着いて話を聞き、共感する
解説: 幻覚・妄想への対応は、患者の話を否定せず、共感して落ち着いて対応することが重要です。

解答7

a) 中核症状は認知機能の低下による直接的な症状、周辺症状は二次的に発生する行動・心理的な問題
解説: 中核症状と周辺症状はそれぞれ異なる性質を持ちます。

解答8

b) 幻視
解説: レビー小体型認知症では、幻視が多く見られる周辺症状の一つです。

解答9

a) 作業を小さなステップに分けて行う
解説: 実行機能障害に対する対応は、作業を小さなステップに分けることが効果的です。

解答10

b) 家の中や庭に安全な歩行ルートを作る
解説: 徘徊への対応として、安全な歩行ルートを確保することが推奨されます。


認知症の中核症状と周辺症状 -確認テスト②事例問題

問題1

田中さん(75歳)はアルツハイマー型認知症の初期段階です。最近、彼は自宅で何度も物を探し回り、家族に同じ質問を繰り返しています。このような場合、介護者として適切な対応はどれか。
a) 質問を無視する
b) 視覚的なメモやカレンダーを使用してサポートする
c) 厳しく叱る

問題2

佐藤さん(80歳)は血管性認知症で、最近は昼夜逆転の生活を送っています。夜間に起き出して徘徊することが増え、家族は困っています。この場合、介護者として適切な対応はどれか。
a) 夜間の活動を完全に禁止する
b) 夜間に落ち着いて過ごせる環境を整える
c) 昼間はできるだけ活動的に過ごさせる

問題3

山田さん(85歳)はレビー小体型認知症で、幻視が頻繁に見られます。彼は「部屋の中に知らない人がいる」と訴えています。この場合、介護者として適切な対応はどれか。
a) 幻視を否定して現実を説明する
b) 落ち着いて話を聞き、共感する
c) 部屋を暗くして刺激を減らす

問題4

小林さん(78歳)は前頭側頭型認知症で、最近は食事中に手が震えて食べこぼしが増えています。この場合、介護者として適切な対応はどれか。
a) 食事を取り上げる
b) グリップの良い食器を使用する
c) 食事中に介護者が食べさせる

問題5

鈴木さん(82歳)は認知症で、最近は物が盗まれたと思い込む妄想が見られます。彼は家族に対して「お前が私の物を盗んだ」と激しく非難します。この場合、介護者として適切な対応はどれか。
a) 事実を否定して対立する
b) 落ち着いて話を聞き、共感する
c) 他の家族と一緒に非難する


解答と解説

解答1

b) 視覚的なメモやカレンダーを使用してサポートする
解説: 記憶障害への対応として、視覚的なメモやカレンダーを使ってサポートすることで、田中さんが安心できる環境を提供します。

解答2

c) 昼間はできるだけ活動的に過ごさせる
解説: 昼夜逆転の生活リズムを改善するためには、昼間の活動を増やして夜間に自然に眠れるように促すことが重要です。

解答3

b) 落ち着いて話を聞き、共感する
解説: 幻視に対しては、現実を否定せず、患者の訴えを落ち着いて聞き、共感することで安心感を与えることが大切です。

解答4

b) グリップの良い食器を使用する
解説: パーセプチュアルモータースキルの低下に対して、グリップの良い食器を使用することで、小林さんが自立して食事をとりやすくなります。

解答5

b) 落ち着いて話を聞き、共感する
解説: 妄想に対しては、事実を否定して対立するのではなく、患者の気持ちに寄り添い、共感することで安心感を与えることが重要です。


エビデンス

テキスト、選択問題および事例問題の作成に使用したエビデンスは以下の通りです。

文献・ガイドライン

  1. DSM-5 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)

    • アメリカ精神医学会が発行する精神障害の診断・統計マニュアル。認知症の診断基準を提供。

  2. ICD-10 (International Classification of Diseases, 10th Revision)

    • 世界保健機関(WHO)が提供する国際疾病分類。認知症の分類と診断基準を提供。

専門書

  1. 「認知症ケアの実践ガイドブック」

    • 認知症の定義、特徴、種類、診断方法、治療法などを詳述。介護現場での実践的なアプローチを紹介。

論文・研究

  1. Alzheimer’s Disease and Dementia - Pathophysiology and Treatment

    • アルツハイマー型認知症の病態生理と治療法についての最新の研究成果をまとめた論文。

  2. Vascular Dementia: Clinical Features and Diagnosis

    • 血管性認知症の臨床的特徴と診断方法に関する研究論文。

専門機関のウェブサイト

  1. アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)

    • 認知症の種類、症状、治療法についての情報提供。

  2. National Institute on Aging (NIA)

    • 認知症の最新の研究成果やケアに関する情報を提供。

ガイドライン・報告書

  1. 日本認知症学会「認知症診療ガイドライン」

    • 日本における認知症診療の標準的なガイドライン。

選択問題のエビデンス

問題1

  • エビデンス: 中核症状の一つとして記憶障害が挙げられます。【「認知症ケアの実践ガイドブック」】

問題2

  • エビデンス: 見当識障害は時間や場所、人物がわからなくなる状態を指します。【ICD-10】

問題3

  • エビデンス: 理解力・判断力の低下には、簡単な計算ができないことが含まれます。【DSM-5】

問題4

  • エビデンス: 実行機能障害は、複雑な作業や計画的な行動ができなくなることを指します。【「認知症ケアの実践ガイドブック」】

問題5

  • エビデンス: 幻覚は周辺症状の一つです。【Alzheimer’s Association】

問題6

  • エビデンス: 幻覚・妄想に対する対応として、否定せずに共感して落ち着いて話を聞くことが推奨されます。【National Institute on Aging (NIA)】

問題7

  • エビデンス: 中核症状は認知機能の低下による直接的な症状、周辺症状は二次的に発生する行動・心理的な問題です。【「認知症ケアの実践ガイドブック」】

問題8

  • エビデンス: レビー小体型認知症では、幻視が多く見られます。【Alzheimer’s Disease and Dementia - Pathophysiology and Treatment】

問題9

  • エビデンス: 実行機能障害に対する対応として、作業を小さなステップに分けることが効果的です。【National Institute on Aging (NIA)】

問題10

  • エビデンス: 徘徊への対応として、安全な歩行ルートを確保することが推奨されます。【日本認知症学会「認知症診療ガイドライン」】

事例問題のエビデンス

問題1

  • エビデンス: 記憶障害への対応として、視覚的なメモやカレンダーを使ってサポートすることが効果的です。【「認知症ケアの実践ガイドブック」】

問題2

  • エビデンス: 昼夜逆転の生活リズムを改善するためには、昼間の活動を増やして夜間に自然に眠れるように促すことが重要です。【National Institute on Aging (NIA)】

問題3

  • エビデンス: 幻視に対しては、現実を否定せず、患者の訴えを落ち着いて聞き、共感することが推奨されます。【Alzheimer’s Association】

問題4

  • エビデンス: パーセプチュアルモータースキルの低下に対して、グリップの良い食器を使用することが効果的です。【「認知症ケアの実践ガイドブック」】

問題5

  • エビデンス: 妄想に対しては、事実を否定して対立するのではなく、患者の気持ちに寄り添い、共感することが重要です。【National Institute on Aging (NIA)】

これらのエビデンスに基づいて、認知症の中核症状と周辺症状に関する選択問題および事例問題を作成しました。これにより、学生が介護福祉士国家試験に合格するための知識を効果的に学べるようにしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?