「見ているだけで、心地よく感じられる」そんなデザインに育つまで。
こんにちは!白ワインのように軽やかな日本酒こと、Blanc(ブラン)です。まだ名前しかありませんので、中身はまじめにコツコツ磨いていくとして、今回は外見、デザインを進めます!【ここまでのあらすじ】
Blancがめざしているのは「白ワインのように軽やかな日本酒」です。と、いわずとも伝わるようなデザインをゴールに設定しました。ゴールを決めることがすべてであるなどという人がいますが、いやいやどうして。教えてください、その道筋を・・・。
ラベルが顔なら、ボトルは体型。
たたずまいが、キャラクターを左右する。
完全なる闇雲の状態から、最初に頭に浮かんだのは、日本酒にはないような存在感にしたいという想いでした。日本酒といえば、一升瓶や四合瓶といった「ザ・日本酒」のたたずまい。後姿で十分、振り返るまでもないというほどの印象度です。勇気を出して、そこをいちど裏切ってみることにしました。じゃあ「ワインのような」ボトルはどうだろう?と手にとったのは、「ザ・ワイン」スタイルのボルドー型とブルゴーニュ型。甲乙つけがたいこの勝負、決まり手となったのは「軽やかさ」です。どっしりとしたブルゴーニュ型よりも、スラリとしたボルドー型の方が、Blancっぽいですよね。答えはシンプルで、いいんじゃないでしょうか。快調な立ち上がりです。
ラベルは飾りではなく、
Blancの世界を開く扉だと考えてみました。
そして迎えるは、第二関門のラベルです。ボトルが「ザ・ワイン」スタイルなら、ラベルでは日本酒という特徴をしっかり伝えなければです。ボトルのスタイルを考えると、あまり達筆すぎる筆文字というのも似合いません。そこで考えたのが、
【方向A】 新しい日本酒(お酒)から広がる世界を描く
【方向B】 新しい日本酒(お酒)のアイコンとなる記号性を持たせる
どちらの方向でも大切にしようと思ったのは「あっ、お米でできているんだ」という読後感(?)でした。いろいろと考えているうちに、楽しくなってきて、気がついたら案の山に埋もれるという、うれしいんだかなんだかな状況に陥るも、心地よい風がひと吹きすると、ラベルはストンと整いました。不思議なものです。それがこちらのラベル(サラリ)。
「心地よい風が吹き、稲穂をやさしく揺らす」
そんな風景を描きました。
ラベルには、大きく実った酒米が頭を垂れ、心地よい風にそよぐ情景を描写しました。ほほにやさしい風がふれ、稲穂がそよぐ清らかな音色が聞こえてきそうです。気がつけば、ここしばらく固定されていた眉間のシワもすっかりほぐれていました。【方向A】ってこういうことだったんですね(再認識)。こうなると早いもので【方向B】だけでは、伝えたいことの半分しか伝わらないのか、との結論に至りました。
そして残った、 何を足して何を引けば、稲穂に見えるのか問題。
一件落着にみえたラベルですが、最後に立ちふさがったのが、数行上で褒めそやしたばかりの稲穂です。なんと複雑で情報量の多い存在でしょうか。わずかなさじ加減で、印象が大きく変わってしまいます。こうなると検証はとことん行わなければなりません。デザインを出力しては、ちょきちょきと切り、ボトルに貼っては剥がすという果てしない作業を重ね、実際の見え方・色味などを詰めていきました。でもやってみなくては分からないことも多いんです。かたちを変えてみたり、稲穂の量を増やしたりしてみた結果、もとのものが一番よかったことも含め・・・。
◯稲穂の形状
◯稲穂の量
心地よい風は、「大胆な余白」から、吹いてきました。
それでは最後の最後に。稲穂と並ぶこのラベルの、もうひとつの主役である「大胆な余白」をご紹介させていただきます。この余白をたっぷりと取ったことで、白は呼吸し、場を息づかせ、「稲穂」は「風にそよぐ稲穂」となることができたのかと思います。そういえばというか、ワタシの名前はBlanc(フランス語で「白」)ですので、お後も大変よろしいかと(自称)。
[次回の予告]
いよいよ中身のデビュー戦(ハードル高め)!