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ダルマ
2022年5月3日 13:39
今回より、唯識思想の中でも難しいと言われる「三性説」に入っていきます。この「三性説」において、弥勒(マイトレーヤ)・無著(アサンガ)同一人物説の矛盾を示していきたいと思いますので、少々長くなります。三性(三種の存在形態)は唯識派によって創説されたものではなく、元来は「般若経典」に説かれていた教えを唯識派が学説化したとされています。陳那(ディグナーガ)は『八千頌般若経』の網要をまとめた「般若経の
2022年5月4日 13:45
今回は弥勒(マイトレーヤ)の著書である『大乗荘厳経論』の三性説について、お話していきます。ここから三性の解説が唯識派に特徴的なものになっていきます。・遍計所執相(遍計所執性)=絶えず二を離れたもの=遍く知られるべきもの=言葉や対象に依って顕現しただけの名称なので非存在・依他起相(依他起性)=虚妄分別=二の迷乱:迷乱の依り所=幻のようなもの=断じられるべきもの=所取(器世間・六
2022年5月14日 13:30
ここまでの内容を簡単にまとめます。弥勒(マイトレーヤ)の『大乗荘厳経論』では「見分と相分」について、「二の迷乱」となっていましたが、『中辺分別論』における「二つのもの」とは「阿頼耶識(識)とその顕現である見分・相分(四通りの対象)」を示していると筆者は考えています。そして、注釈者である世親(ヴァスバンドゥ)はおそらく、二つのものを遍計所執における主観・客観のことであると理解していると思われ
2022年5月15日 12:55
弥勒(マイトレーヤ)の著書「中辺分別論」における三性説の続きになります。想像よりもかなり長くなってきましたので、少し急ぎ足になります。あくまで筆者は次のような意味と考えていますが、様々な説があります。・識(阿頼耶識の種子)が現勢化する時、それは{色声香味触法}の六境として、{眼耳鼻舌身意}の六根として、末那識として、及び{眼耳鼻舌身意}の六識として四通りに顕現する。・しかし、識(阿頼耶識