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大乗仏教 如来蔵思想・唯識思想

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#如来蔵

【大乗仏教】如来蔵思想・唯識思想

【大乗仏教】如来蔵思想・唯識思想

大乗仏教の主な思想の中に、中観思想の他に、如来蔵思想と唯識思想があります。ここまで、「空の思想」ということで、初期般若経典・浄土経典→龍樹→中期中観派と一気に話を進めてきましたが、本来であれば、その途中に如来蔵思想の原点となった初期大乗経典(龍樹以前の経典)、そして如来蔵系経典や唯識系経典が存在しています。

如来蔵思想と唯識思想の原点となった初期大乗経典は「華厳経」と言われています。また、「法華

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【大乗仏教】如来法身の遍在

【大乗仏教】如来法身の遍在

前回の記事の続きになります。

如来法身が応身(化身・色身)の仏として、世に現れるという思想を前回の記事で説明しましたが、今回は如来法身が万物に遍在しているという思想を見ていきたいと思います。

また、「華厳経 十地品」では万有即ち仏身であることがより明確に説かれています。菩薩大士は一切の生物界(衆生身)、国土・山川などの自然界(国土身)、道徳界(業報身)、声聞身、縁覚身、菩薩身、真理の体現者(仏

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【大乗仏教】如来蔵思想 光り輝く心

【大乗仏教】如来蔵思想 光り輝く心

「華厳経」以前の初期大乗仏教の経典においても、「如来は法を身体とする」という教えが登場しています。いくつか例を示します。

これらの思想が「華厳経」における「如来法身の偏在」という思想へ繋がったものと思われます。詳細は前回の記事をご参照ください。

如来法身の一部は我々衆生にも仏性(如来蔵)宿るとしますが、その我々に宿る仏性は「浄く輝く心」「光り輝く心」「自性清浄心」等と表現されます。煩悩に塗れた

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【大乗仏教】後期中観派の中核4

【大乗仏教】後期中観派の中核4

シャーンタラクシタの「絶対の空」とラトナーカラの「照明(光り輝く心)」が同じ境地(=仏性・如来蔵)である形でまとめられました。しばらく後で取り上げますが、これによって仏性(如来蔵)に善性だけでなく悪性も具有されているという新説が後に登場し、伝統的な仏性(如来蔵)自体は善性のみとする説との間に論争が起こります。

さて、「大乗仏教の五位」のお話に入っていきます。前回まで、途中の加行道から菩薩十地(見

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識の三層と照明・形象の関係

識の三層と照明・形象の関係

唯識思想において、識(心)の「阿頼耶識・末那識・六識」の三層表記はよく知られていると思いますが、識(心)を「照明や形象」で表す表記はあまり知られていない部分なので、簡単にまとめておきたいと思います。

【阿頼耶識】(照明+形象)○阿頼耶識の深層(照明)
阿頼耶識の中心部であり、如来蔵、空性、光り(浄く)輝く心、真如、仏性、自性清浄心、法身、法性、清浄法界など様々な異名があります。主観と客観、即ち末

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