【現代詩】ジョジョ的な反復


男は海底の案内人だった 妻と子供を捨てて 島に移住した 軍に頼まれて 研究者と同行し海底地図をつくる仕事に従事した 
ある日の朝 白いバルコニーにいると 海から声が聞こえた 
「Jitolea maisha yako sasaササゲヨ」
その日は 地形を調べるために イギリスの学者と海に潜った 不審な事故が続いていた
「このあたりに軍用ヘリが落ちた 将校はおそらくもうサメの腹の中 だろう あの古代遺跡が磁場にいたずらをする」
男は同行者を振り向きざまに銃殺し 海の秘密を守った 血の匂いに サメが寄ってくる 紫の魚群がビョーと散開する 男はこうした殺戮をジョジョ的に反復した 
半年後 男は島を出て 砂漠の傭兵になった 今は異教徒のために戦っている 敵陣に単身乗り込み 反乱軍の幹部の首を切り落とす 成功しても英雄になるわけではない 殺戮を続けることが あの日クトゥルフと交わした約束だった 男は何も考えず それを実行しているだけ 男の分厚い胸には
Ninatoa maisha yangu kwa uhuru (スワヒリ語 「自由のために」の意)と古いゴシック体でタトゥが掘られていた
人を1人殺す度に文字の装飾がふえていった

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