【夏場の食欲不振に】清暑益気湯(せいしょえっきとう)が体力消耗を補う!

清暑益気湯(せいしょえっきとう)について、さらに詳しく解説します。

1. 主要な効果と働き

清暑益気湯は、夏特有の体力消耗や暑さによる体調不良を改善するために作られた漢方薬です。暑さで失われたエネルギーを補うと同時に、体の水分バランスを整え、熱を冷ますことで体全体の調和を取り戻します。特に、夏バテや熱中症、胃腸の不調に対して高い効果を発揮します。

エネルギー補給

清暑益気湯には「補気作用」があり、体の「気(エネルギー)」を増やす生薬が多く含まれています。特に暑さで体力を失い、気力が減退している状態を改善するため、長期間暑さにさらされる夏場に効果的です。

体内の水分補給と保湿

麦門冬(ばくもんどう)や五味子(ごみし)は体の潤いを保つ生薬で、汗をかいて乾燥した体を潤し、水分不足を補います。夏場に汗を大量にかいてしまうことで、体の水分が減少し、バテやすくなる状態を改善します。

熱を冷ます

黄柏(おうばく)は、清熱作用といって体内の過剰な熱を冷ます効果があります。夏の暑さによって体に熱がこもると、食欲不振や疲労感が強まるだけでなく、熱中症の原因にもなります。黄柏はその熱を取り除き、体をクールダウンさせる役割を果たします。

消化を促進

陳皮(ちんぴ)は、消化機能を改善する作用があります。夏場は暑さの影響で胃腸が弱くなりがちで、食欲が低下し、栄養の吸収がうまくできないことが多いです。陳皮は気を巡らせて胃腸の働きを活性化し、消化不良を改善します。

血液の巡りを改善

当帰(とうき)は血を補う生薬で、全身に必要な栄養やエネルギーを運ぶ血液の巡りを改善します。これにより、全身に効率的にエネルギーが供給され、疲れやだるさが軽減されます。

2. 使い分けの具体例

清暑益気湯と生脈散(麦味参顆粒)の使い分けがポイントになります。

清暑益気湯

清暑益気湯は、単に汗をかいてエネルギーが減少しているだけでなく、消化不良や食欲不振、胃腸の働きの低下がある人に適しています。例えば、夏場になると食欲がなくなり、体が重だるく感じるタイプの人に向いています。

生脈散(麦味参顆粒)

生脈散は、シンプルにエネルギー不足を補う処方で、エネルギーを補給しつつ潤いを保つのが主な効果です。食欲不振や消化不良がないものの、暑さで疲れが抜けず、体力が低下している人には生脈散が有効です。また、エネルギー不足による夏バテや軽度の熱中症にも対応します。

3. 生薬ごとの働き

それぞれの生薬の働きをもう少し細かく見ていきましょう。

  • 人参(にんじん):体のエネルギーを補い、体力を回復させる働きがあります。疲労回復や元気を取り戻すための基本的な生薬です。

  • 麦門冬(ばくもんどう):体を潤し、乾燥した体を癒やす作用があります。汗で失われた水分を補い、体内の潤いを保つ役割を果たします。

  • 五味子(ごみし):収斂(しゅうれん)作用があり、体の水分を外に漏らさないようにキープします。つまり、せっかく補った潤いを逃がさないようにする働きです。

  • 黄柏(おうばく):体内の余分な熱を取り除き、体を冷ます作用があります。暑さで体にこもった熱を冷やすため、熱中症や夏バテの予防にも役立ちます。

  • 陳皮(ちんぴ):気を巡らせ、消化機能を改善します。胃腸が弱っている時に、食欲を改善し消化を助ける効果があります。

  • 当帰(とうき):血を補い、体全体の巡りを改善します。栄養を全身に巡らせ、血行を良くするため、疲労回復にもつながります。

4. 効果的な服用のタイミング

清暑益気湯は、暑さによって体調を崩しやすい夏場に特に効果がありますが、季節を問わず、体力が低下していると感じる時にも服用が可能です。特に、夏の間に食欲不振や胃腸の不調がある場合に、早めに服用を始めると、夏バテや熱中症の予防につながります。

また、高齢者や子供など、体力が落ちやすい人には、熱中症予防としても有効です。夏の初めや、暑さが厳しくなる前に服用を開始することで、体調を整えておくことが重要です。

5. まとめ

清暑益気湯は、エネルギー補給、潤いを保つ、胃腸をサポートし、余分な熱を冷ますという多機能な漢方薬です。夏場に多く見られる消耗型の体調不良を改善し、全身の調和を取り戻します。特に、夏バテや胃腸の不調を抱えやすい人には効果的な処方であり、体のエネルギーと潤いを補うため、暑さに強い体を作る手助けをしてくれます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?