「ほっこり授業」の柱!他者の中に「自己」を見いだすしかけを作ろう①
はじめに、子どもの学びづらさを理解していただくために、算数を例にそれらの定義を述べます。算数科の困難さは、文部科学省編著「障害に応じた通級による指導の手引 解説とQ&A(改訂第3版)」で、算数LDの項目で具体的に述べられています。
計算する能力と推論する能力に困難さがあり、表にまとめると次のようになります。
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筆者は、この24項目を単元ごと(かけ算とかわり算といった学習のまとまり)に、算数が苦手な子どもに対応させてみました。
それぞれの子どもで、苦手のパターンが見えてきました。
一般の先生方は、休憩さえ取れない中で授業をしているのに、個別最適化とか何とかいわれても、さらに24項目もあってはたまらんと思うでしょう。
そこで、
ざっくり、2つの「苦手グループ」に分けてみることにしました。
・消しゴムを落としたり、椅子の上で正座、ノートのマスを無視して書く
→(見るに関連して)パッと見て情報を処理するのが苦手
・ボーとする、やり残しが多い、指示が通らない
→(聞くに関連して)聞いて、順序よく処理するのが苦手
これで、誰がどうして苦手なのかを把握することができます。
クラスに5~6人くらいいるであろう「算数苦手」の子どもへのアプローチが見えてきました。しかし、5人程度とはいえ、小刻みな支援が必要です。互恵的関係を築きながら、この子たちを気づかってくれる友達が必要です。
次は、助けてくれそうな子どもにどう活躍してもらうかです。
そこで、授業の組み立てを、優秀な子どもの考えを聞いて学ぶというスタイルから、みんなが分かったら前に進むという流れにしました。
のちほど、語りますが、友達を支えた続けたのはクラス全員で、支援しなければいけないと先生(筆者)が勝手に思い込んでいた子どもたちも、助ける側になりました。
友達を支えることは、皆ができて、かつ、子どもの求めていた姿なのだと思いました。
つまり、算数の学力と学ぶ力は、別物だったのです。また、先生が困り果てた「聞かない」「見ない」子どもたちは、独特の視点で考えを広げていく力のある子どもたちだと発見できました。
「他者に自己を見出す」ためのしかけ①
授業のめあてを2つ掲げます。「学習のめあて」と「助け合いのめあて」です。
筆者は、助けあいのめあては、「学びのスキル」として提示しました。この「学びのスキル」には種本があるのですが、それは次回ご紹介します。
たとえば、「今日の学びのスキルは、ペアで30秒で相談するです。必ず声を出そう。」といったことです。
「他者に自己を見出す」ためのしかけ②は次回に続きます。