マガジンのカバー画像

私の東京案内

203
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

市政会館・日比谷公会堂

 久しぶりに千代田区立日比谷図書文化館(旧都立日比谷図書館)を訪ねた折りに、市政会館・日比谷公会堂の写真を撮った。この建物は安田善次郎の寄付により、昭和4年1929年10月に竣工したもの。設計は佐藤功一(1878-1941)。地上6階地下1階、塔屋部分が4階である。施工は清水組(現清水建設)。関東大震災復興のシンボルの一つ。都心のビルが絶え間なく建て替わってゆくなかで、長く日比谷公園のランドマークであり続けている。 国会通りに面しては市政会館の、そして大噴水前の第二花壇(令和

ダイヤゲート池袋

 ジュンク堂池袋を久しぶりに訪ねたとき、そのウインドー越しに、「ダイヤゲート池袋」を認めた。ダイヤグラムtrain diagram(列車運行図表)をモチーフとする特徴のある外観は、池袋のランドマークだと言ってよい。とくに西武HDに用事はないが、一度訪ねてみよう、そう思った。  ダイヤゲート池袋を訪ねた。商業ビルとして高いポテンシャルをもっているのに、オフィスビルである点に違和感を感じた。駅からは、とくに西武池袋線南口からはすぐそば。ビルのデザインや2階の広いデッキは遊び心に満

神田川橋梁

 神田川橋梁は「松住(まつずみ)町架道橋」に接続して、総武本線を神田川を渡らせ御茶ノ水につないでいる鉄道橋梁である。橋長56m。  ところで橋で水平に渡す構造物を「桁(けた)」という。またI字型の鋼鉄の桁をガーダーplate girder,四角い箱型の桁をビームbeamという)。またこの「桁」と「支点」だけで橋をつくると、これを桁橋という。  桁橋は上に天板をのせたり、途中に橋脚を付けることもある。短い区間に橋を付ける場合に、桁橋は良く見られる。神田川橋梁は、プレートガーダー

松住(まつずみ)町架道橋

 橋を見て回ると言葉の発見がある。人だけが歩く人道橋があり、鉄道が走る鉄道橋がある。ここで紹介する「松住町架道橋」は鉄道橋でありJR総武本線がそのうえを走っている。また川ではなく、道の上に架けているので「架道橋」と呼ばれる。この松住町架道橋が存在する場所は、御茶ノ水と秋葉原の中間地点。またいでいる道路とは外堀通りと国道17号線である。そして外堀通りにある昌平橋上から松住町架道橋全景が見える。  秋葉原からもお茶の水からも徒歩圏であるが、今回は、JR御茶ノ水からまず湯島聖堂に行

萬年橋(まんねんばし)

 江戸時代の浮世絵の一つに、葛飾北斎が描いた「深川萬年橋下」というものがあるが、ここで紹介する萬年橋はその深川萬年橋の後継である。小名木(おなぎ)川を挟んで、清澄1丁目と常盤1丁目とを結んでいる。 江戸時代の運河(canal)の整備  小名木川は、隅田川と旧中川を結んでいて、「川」と名付けられているが、江戸時代の初めに、人為的に掘削して造られた運河であり、東西に約5キロまっすぐ伸びている。もともとは行徳に開発された塩田で作られた塩を運ぶために整備されたもので、その後、江戸時代

豊海橋(とよみばし)

 永代橋を見に行くため、東京駅丸の内北口から錦糸町行きバスに乗り、「永代橋」で降りて何気なく左手を見たら、そこに「豊海橋」が見えた。  この橋は梯子を横にしたような形状。これは「フィーレンデール橋(Vierendeel bridge)」と呼ばれる形だ。フィーレンデールは考案した人の名前に由来。橋というと、アーチ橋や吊り橋を見慣れた目に新鮮な形状だが、実際、日本での建造例は少ない。しかもこの橋は、昭和2年1927年竣工で鋼製フィーレンデール橋の日本で最初のもの。  この橋が位置

永代橋(えいたいばし)

 永代橋を訪問して、その素晴らしさに息を飲み、もっと早く来なかったことを悔やんだ。訪問が遅れた理由は、多くの案内が茅場町から歩けと指示していて歩くことが面倒だったからだ。楽に行く方法はないかと、探すとあった。東京駅丸の内北口から錦糸町行きバスで「永代橋」下車である。この方法は実に快適だった。バス停に着いたら永代橋は目の前だ。また下車して左手にすぐこれも有名な「豊海橋(とよみばし)」もあった。この豊海橋については、稿を改めて紹介する。  さて永代橋は、200m近い幅がある隅田川

南高橋(みなみたかばし)

 南高橋は地下鉄あるいはJRの「八丁堀駅」から徒歩圏である。地下鉄の八丁堀駅で降りて、亀島川に沿い、亀島橋、高橋、南高橋と下流に向かって歩いたが、これが意外に楽しかった。高橋から南高橋にかけては、水辺の景観を楽しめるように、公園などが整備されている。  南高橋は、昭和7年1932年3月に竣工した鋼鉄のトラス橋(三角形の骨組みで作った橋をトラス橋truss bridgeといいます。南高橋はそのなかでプラットと呼ばれるタイプなので、プラットトラスPratt trussだとされます