松住(まつずみ)町架道橋
橋を見て回ると言葉の発見がある。人だけが歩く人道橋があり、鉄道が走る鉄道橋がある。ここで紹介する「松住町架道橋」は鉄道橋でありJR総武本線がそのうえを走っている。また川ではなく、道の上に架けているので「架道橋」と呼ばれる。この松住町架道橋が存在する場所は、御茶ノ水と秋葉原の中間地点。またいでいる道路とは外堀通りと国道17号線である。そして外堀通りにある昌平橋上から松住町架道橋全景が見える。
秋葉原からもお茶の水からも徒歩圏であるが、今回は、JR御茶ノ水からまず湯島聖堂に行き、さらに湯島聖堂から外堀通りに沿って、すなわち神田川に沿って坂を下る形で赴いた。この行き方のメリットは、すでに「松住町架道橋」が行く手に見えていて、次第に接近できる点である。
松住町架道橋は、アーチの支点間が鋼材で接合(タイド)されているタイドアーチ橋であり、アーチの部材(rib)が三角形のトラス状に鋼材を組むことで補強されたブレーストリブとなっている。前に見た萬年橋と同じブレーストリブタイドアーチである。萬年橋が昭和5年1930年竣工に対して、こちらは昭和7年1932年竣工。鉄道橋でタイドアーチの最初の事例とされる。また千代田区により「千代田遺産」に認定されている。
萬年橋と松住町架道橋はともにブレーストリブタイドアーチ橋である。しかし松住町架道橋は鉄道橋であるので耐えるべき荷重は大変大きいはずで、橋梁工学の専門家が両者を細かく比較すると、両者には奥深い違いがあるのかもしれない。大きさは松住町架道橋は幅8.5m支間長71.96mに対し、萬年橋は幅員17.2m橋長56.25mである。
なお松住町架道橋に接合する形で御茶ノ水側に「神田川橋梁」が存在する。この神田川橋梁については稿を改めて述べたい。
アクセス 秋葉原からも御茶ノ水からも徒歩圏。御茶ノ水方面から神田川あるいはJRの鉄道に沿って昌平橋を目指すことを推奨する。