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【書評?】どうしてわたしはあの子じゃないの
こんばんは、廣瀬です。
約1ヶ月振りに本を読みました。この本は、2019年9月14日から数えて100冊目、今年40冊目の本になります。読み終えて記憶が新鮮なうちに、書評?noteを更新しておこうと思います。
今回ご紹介するのは寺地はるな著 どうしてわたしはあの子じゃないの(双葉社)です。それでは早速あらすじから紹介していきましょう。
あらすじ
閉塞的な村から逃げだし、身寄りのない街で一人小説を書き続ける三島天は、ある日中学時代の友人のミナから連絡をもらう。中学の頃に書いた、大人になったお互いに向けての「手紙」を見つけたから30才になった今開封しようというのだ――。他人との間で揺れる心と、誰しもの人生に宿るきらめきを描く感動の成長物語。
(公式ページより)
感想
どうしてわたしはあの子じゃないのと、私は人生の中で何回思っただろうか。もうそれは、数えきれないくらいに何度も何度も思ってきた。どうして、どうして、どうして――。
頭の中で何度繰り返しても、なりたいあの子にはなれるわけなどなく、私は私を生きている。それがどんなにみっともなく、惨めでも、私はそれを甘んじて受け入れるしか術がない。
けれどこの作品を読んで、少し考え方が変わったように思える。
頭の中で何度繰り返しても、なりたいあの子になれるわけがないのは変わらないけれど、私は私で居てもいいのだと思えるような気がした。あくまで、気がしただけなのは、これは私にとって根深い問題で、一朝一夕で解決するようなことではないからだ。
私の人生は妬み嫉みで満ち満ちている。それは私が何も持たない人間で、これからもきっと何も持てない人間だからだろうと思う。けれど、この世界に何かを持っている人間ってどれくらいいるのだろうか。
誰しも手に入らない何かはきっとあるし、それを手にしている誰かを羨み、妬むこともあるだろう。それが私のそれと何が違うのだろうか。
きっとなにも変わらない。
この作品は、今の私にとって必要な1冊だったと思う。自分には何もないと自分を卑下して鬱屈した毎日を送る私にとっては。
この作品に出てくる登場人物たちは、誰もが私と違って、私と同じだった。振り向いてもらえない初恋も、夢を笑われることも、田舎の閉塞感も、どこか私が感じていたそれと似ていて、そして微妙に違う。
重ね合わせ過ぎず、重ね合わせなさ過ぎず、丁度良い距離感で作品に入り込めた。私の中にあるモヤモヤを少しずつ、吐き出していくような気持ちでこの作品を私は読んだ。
あなたは、そのままでいい
物語の後半、ずっとそう言われている気分だった。私はきっと私でいいのだ。多分。そう完全に思うには時間がかかるかもしれないけれど、きっとこの作品は私の助けになる。
そして、私以外の誰かの支えにもきっとなる作品だろう。
終わりに
今回は寺地はるな著 どうしてわたしはあの子じゃないの(双葉社)を書評?してみました。
2019年9月14日から続けている読書ノートのラスト1冊。100冊目の作品を何にするか悩んで、悩んで、悩んだ末に今日書店に行って、ずっと気になっていたこの作品を読むことに決めました。
読んだ結果、この作品は今の私に必要な1冊だったなと確信しています。私の選択は間違っていなかったようです。
誰しも一度はどうしてわたしはあの子じゃないのって考えたことあると思うんですが(私見です)、それをこういう作品にされると刺さりますね。あと舞台が九州ということもあり、言葉の訛りに何となく私が感じていた田舎の閉塞感を思い出しましたね。まぁ、今も田舎に住んでるんですけれども。
作者の寺地はるなさんは佐賀出身ということで、訛りが生々しかったです。もちろん、他県の人が読んでも分かる程度に翻訳してあるんですけど、それでもどこか生々しさを感じました。
派手な作品ではないとは思いますが、そっと傍に寄り添ってくれるような優しさがある作品ですので、気になった方はぜひ読んでみてください。きっと後悔はしないと思います。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回の更新でお会いしましょう。
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