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「スキーマ療法⑱自己犠牲」を複雑性PTSD/ボーダーライン・パーソナリティー症の目線から説明してみた
18種類のスキーマの13コ目
「自己犠牲スキーマ」です。
このスキーマを獲得してしまった原因は、
前回の「服従スキーマ」と同じで
欲求と感情の自由な表現が満たされなかった為です。
本人の特徴は
⒈自分の欲求より相手の欲求を満たすことにエネルギーを使う
(本人は自覚していない)
⒉服従スキーマは恐怖心から従うが、
「自己犠牲スキーマ」は自発的に従い、
犠牲になっている自分の行動は正しいと思っている
⒊自己犠牲に満足し、罪悪感を感じないようにする
⒋他者の痛みを自分の痛みのように感じ、
その他者が二度と痛みを感じないように過剰に頑張る
⒌他者の痛みに対し過度に責任感を感じ、
相手も自分も、それがあたりまえの関係になる
⒍自分の体調が悪ければ、他者の世話をしない罪悪感を回避できるので、
頭痛、胃腸障害、慢性疼痛、疲労などの身体症状がでる
⒎他者に与えるばかりで、他者から与えられることはほとんど無い
たとえば、
疲れ切っているのに他人を家まで送るとか、
自分の体調を無視して頑張るけれど、さほど感謝もされない。
眠る時間を削ってまで相手の欲求を満たしても
あたりまえのようにお互いが感じている。
PTAの役員など、誰もいないのなら「私がやります!」と言ってしまう。
そして感謝はされない。など
特徴はまだ続きます
⒏自分自身の欲求が満たされることは無いのに
表面的には満足し、内面では相手に怒りを溜めている
⒐自己犠牲がエスカレートし自傷行為をすることもある
10.相手からの見返りは期待しないが、怒りを感じている
11.自分の欲求を満たすことを諦めている
12.支配的な親ではなく、弱い親(病気がち、愛着障害など)からの
影響を受けている
13.自分の話はせず、相手の話を聞く
14.自分は困っていても、相手の世話を焼く
15.常に相手に気を使い、相手から気を使われると居心地が悪い
16.何かして欲しいことがあっても直接は頼まない
このスキーマのおかげで良いこともあります。
①他者の世話をしている自分に誇りをもてる
②道徳的に正しく行動することで、自分は良い人間だと思える
③友人が増える
友人と呼べるかどうかは別として、
そりゃ、人は寄ってくると思います。
つけ込まれて利用されているかもしれませんが。
偽物の優しさの下には、怒りがあふれ出しそうです。
治療目標は、
⑴「すべての人は自分の欲求を満たす平等な権利を持っている」
ということを認識できるようになる
⑵自分を「強い人間」と勘違いしていることに気づく
⑶相手を「可哀想な人」と思い世話をしているが、
実は自分も可哀想な人なんだと認識する
⑷「自己犠牲スキーマ」には利得があるが、
払う代償が大きすぎることに気付く
⑸過剰な責任感を軽減する(他者の苦しみを過大解釈しない)
⑹他者に対して自分が欲していることを伝える練習をする
⑺他者に対して強がるのをやめて、
弱い自分をさらけ出すことができるようになる
とにかく自分のことは後回しにして、
自分の罪悪感を消して、自尊心を高めていきます。
このスキーマに気付くだけでも、
人生が大きく変わっていくと思います。
お読みいただきありがとうございました。