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さすがの韓国ホラー、破墓(パミョ)

※ネタ漏らします。

韓国のホラー「パミョ」。キャッチコピーの「なんか出てきた」がヤバそうすぎて、楽しみにしていた。もちろん一人で観る。一人で観た方が怖いもん。「コクソン」だって「us」だって「死に至る病」だって一人で観れたし…と思いつつショールを被って始まるのを待つ。怖い話を観る時って、なんか後ろが気になるのよね。

「破墓」というのは文字通り墓を破ることで、一族に災いがあった時に墓を掘り返し、埋葬し直す習慣が韓国にはあるらしい。そのために風水師、巫堂、葬儀屋のドリームチームが揃い事に当たるが一筋縄では行かず…というのが前半のあらすじ。巫堂役のキム・ゴウンが霊を呼び、祓う場面が美しい。実際の巫堂の元に通い修行を積んだそうだ。「コクソン」の祈祷のシーンも大好きだった。狂ったような銅鑼の音、取り憑かれたように舞い踊る巫堂。何ひとつ意味はわからないのに血湧き肉踊る。アニミズム。体の奥底にうずく「何か」が目を醒ます。

しかし、「パミョ」の霊は一度で祓えるようなシロモノではなかった。日本映画などでは殆ど描かれることがないが、日本統治下の朝鮮の話も出てくる。戦時中、日本人が大陸や半島で何をしたのか。韓国には「反日ホラー」というジャンルが成立するほどに何本もの作品があるようだ。ホラーではないが「お嬢さん」にも日本人がでてきたし、中国の映画だが「鬼が来た!」という作品もその時代の話だ。日本兵役は香川照之が演じており、寒気がするほどの適役だ。加害者側は忘れようとするが、被害者は忘れない。過去の戦争において日本は加害者であり、被害者でもある。原爆や沖縄戦、日本各地への攻撃を忘れろと言われても無理な話であり、逆もまた然りである。

そんなわけでラスボスは日本兵かと思ったら何と戦国の武者だった。なんで?とは思ったが、朝鮮出兵とかがいけなかったのかな…と考えた。ラスボス自身は関ヶ原で負け…戦いの神となり…と自己紹介していた。おそらく様々な怒りや呪いが強力なひとつの霊魂となり、禍を成していたのではなかろうかたぶん。

祈祷師軍団は体中に経を書いて耳なし芳一の構えで戦う。焔となって頭上を飛び回る霊魂。こんな稼業は絶対に嫌だ。それでも途中で「まだ終わらないで」と祈るほどに面白かった。各キャラクターの魅力と流れるようなストーリー運び、おどろおどろしく不可解な世界がワンダーランドとして描かれていた。エンタメホラーと言ってもいいかもしれない。とにかく面白かった。

いつも韓国映画を観ていて思う事なのだが、共通の言語のなんと多いことか。「ヤクソク」「カバン」「ムリ」「ムシ(無視)」…。探せばもっとあるだろう。統治下時代に伝わった言葉もあるだろうし、もっと昔からある言葉もあるだろう。同じような言葉を喋り、似たような顔付きの民族が憎み合った過去は悲しい。そしてまだまだ過去とは言えないことが悲しい。昨今では韓国とのエンタメ部門での交流が盛んで喜ばしいことだ。特に韓国の映画はクオリティの高いものが多い。次は何を観るか、楽しみである。

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#ホラー
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