Areko
会いたい人に会う。
それは、とても幸せなことだ。
会いたい、と言って、会ってもらえる。
それって、ほんとにありがたい。
人生迷走中の私に、
「喝!」
を入れてもらうべく、
Nさん、Aさん、Kちゃんと食事会。
お店は、ずっと行きたかった「Areko」。
以前、tsuchinoya(つちのや)の周年祭で、Arekoのお料理をいただいた時に、とても美味しくて、美しくて、また絶対食べたいと思っていた。
念願のArekoで、好きな人たちと、ごはん!
こんな幸せなことってないんだけど、緊張して、お店に着くまで、お腹が痛かった(小心者)。
でも、会ってしまえば、どんどん話したいことや、聞いてみたいことが出てきて、腹の痛みなんてどこかへ消える。そんなもんだ。
どのお料理も、美味しいのはもちろん、とても美しい。ひとつひとつのお料理を味わうたびに、お料理について語り合うくらい、本当に魅力的なお料理ばかりだった。
どのお料理も、毎回食べられるわけではなく、
今日、この日だけのひと皿。
一期一会のお料理だからこそ、味わい、語り合う。
本当に幸せな時間だ。
島ダコは、ほんとうに柔らかくて、あんな食感のタコを味わったのは、初めてだった。ひとくちを噛み締め、ゆっくりと味わう。
前菜も、お魚も、お肉も、お野菜も。
ソースひとつにだって、こだわりがある。
丁寧だ。とても丁寧なお料理だ。
お口直しとして出てきたパンナコッタ。
これが、なんとも初めての味の組み合わせだった。
口に含むと、パンナコッタの他にも、
いろんなものが、溢れて現れて混じる。
なんだ、これ…!美味しい…!
店主はパンナコッタの説明の最後に、
こう言った。
「エクスプロージョンです。」
どんな意味だろう。
調べてみる。
explosionとは。
爆発!
破裂!
まさに、その通り!!
Aさんが、ひと口含み、ひと言。
A「explosion!」
まさにー!!
パンナコッタと生姜とワインと日本酒とデコポンと。口の中に、いろんな美味しいものが、美味しいまま、華やかで賑やかな爆発を繰り広げる。これが、今、この時しか食べられないなんて。もう食べられないかもしれないなんて。その希少さが、さらにひと口ひと口を貴重なものにする。なんと贅沢なひと皿なんだろう。
パンナコッタで、もうすでに充分に満たされていたけれど、さらに次のデザートも、とても美味しかった。
トゥルーシナモンのアイスクリームと、ホワイトチョコのケーキ、そして、サバイヨン。
「まだあるのかー!」
思わず声に出して、驚いてしまう。
サバイヨンとは、イタリア起源の卵黄を使用して作るムース状のクリームのこと。サバイヨンと苺とさつまいもと小麦粉で作った薄いせんべい状のものを重ねることで、逆いちごタルトが出来ている。お洒落…!
ホワイトチョコのケーキは、しっかりずっしりこってりでめちゃうまだし。
なにより、トゥルーシナモン(セイロンニッケイ)のアイスクリームは、上品でとても美味しい。
トゥルーシナモンという単語の響きと、味の繊細な華やかさに、何度も何度も「美味しいねー!」と4人で言い合う。とても満たされる時間。
お料理も、お酒も、コーヒーも。
全部ぜーんぶ大満足!
美味しいお料理に満たされたのはもちろんだけど、食事をしながらの会話にも満たされた。お料理と共に、とても贅沢な時間だった。
同じ年代の女性達。みなさん、自分の仕事や技術を持ち、日々探究し、専門性を発揮している。とても素敵だ。とても励みになる。年を重ねる事は、魅力的だと感じられる。
お料理を作ってくれた店主の話も、貴重だった。美味しいお料理は作れる。大事なのは、その料理をどんな人が作ったのか、そちらに興味があると話していた。作ったお料理には、料理人の何かが込められ、それが、味と共に食べた人に伝わる。
味以外のなにか。
「Areko」のお料理にも、込められている何か。
それは「敬意」であるように、私は感じた。
食材への敬意。食材の味を決めつけない。柔軟に、その日、その時の、食材の魅力を最大限に引き出すように調理する。
食材を提供してくれた農家さんへの敬意。
お店を作ってくれたkapok(建築会社)への敬意。
お店を彩る家具や装飾などを手がけてくれた方々への敬意。
それらが、混じり合って、お料理となり、
私たちの前に届く。
生き方が、お料理に現れる。
怠けたら、それは、すぐに料理に出る。これまで協力や応援をしてくれている人達に恥じないように、自分を鼓舞し、探求する。
誰かを頼ることは、間接的ではあるけれど、自分の質を維持し高める効果もあるんだ、と話を聴いていて、気づく。
店主の話を聴いていて、私も人の話を聴くことで、相手のなかにある力を引き出したいと思っているし、そこに魅力を感じているんだと、気づく。
料理も、建築も、ワイヤーアートも、彫金も、心理的支援も。どこか、本質は、繋がっている。
大切なことは、同じだったりする。
私も、自分の道を探究しよう。
そう思えた素敵な夜でした。
ちなみに、Arekoでは、廃材や中古家具などを使って空間が作られている。おしぼり置きも、倒木したさまざまな木材で作られている。見た目が違うだけでなく、同じ大きさなのに、重さが異なる。どれがどの木材なのか、私には分からないけれど、ひとつひとつのこだわりも素敵なお店でした。
まだまだ話し足りなかったけれど、閉店のお時間に。また、みんなで集まりたい!
素敵な夜を、ありがとうございました!
★1年後に再集合!