新しいことを始める
今日のおすすめの一冊は、斎藤茂太氏の『ほっとする生き方』(新講社ワイド新書)です。その中から「人間、暇だとろくなことを考えない」という題でブログを書きました。
本書の中に「過度なストレス」についてこんな文章がありました。
水は、ひとつところでとどまっていたら、淀んでしまう。船に積んでいる水が腐らないのは船がゆれるからだ。心のエネルギーも、X地帯に移動したり、Y地帯に移動したり、いつも流れているほうがフレッシュでいられるだろう。
じっと動かず、いつもの環境で慣れ親しんだことだけやっていたほうが、エネルギーを消耗しないように思えるが、実は長い目で見ればそのほうが消耗しているのだ。あっちに移動したり、こっちに流れたり、新しいことを始めたりするのは、確かにそのときはエネルギーを使う。しかし、長い目で見れば、いつも心身がリフレッシュし、また新たなエネルギーがわいていることになる。
長年生きてくると、知らず知らずのうちに同じことの繰り返しになっているものだ。仕事でも、ひとつのことに熟練してくると、そればかり求められるようになる。天ぷら屋さんであれば、毎日、店を開けてから閉めるまで、ひたすら天ぷらの揚げどうしだ。家庭の主婦であれば、毎日の家事は繰り返しである。料理も、同じメニューを繰り返し作っていたり、自分の得意料理がしょっちゅう食卓に並ぶことになる。
同じことの繰り返しは楽なようでいて、楽ではない。どうしても緊張感がなくなってくる。毎日同じ作業をしながら常に新鮮な気持を保ち、ダレたりいいかげんにならずに精魂込めてできる人は、なかなかいないだろう。
「どうも最近やる気がしない」という人は、思いきって新しいことに挑戦してみるのもいいだろう。仕事でいきなり新しいことを取り入れるのは難しいので、プライベートでまったく新しいことをやってみてはいかがか。新しい人間関係に飛び込んでみるのも効果的だ。何の環境の変化もなく、何の新しいこともなく、気持ちだけリフレッシュしようと思っても無理なのだ。
停滞してしまった気分を立ち直らせるには、まず外側からだ、だ。環境を変えていけば、内面も変化してくる。状況が活性化してくれば、心も活性化してくる。何か新しいことに挑戦するときにはストレスに襲われる。しかし「適度なストレス」は人間をしっかりさせる。ストレスも悪いことばかりではない。
ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」があるといいます。良いストレスとは、そのストレスによって自分を高めてくれるような良い刺激のことです。反対に悪いストレスとは、そのストレスがあることで、身体が不調になってしまうような刺激のことです。
何か新しいことを始めるときは、ウキウキした気持になります。特に、昨今は仕事効率化のアプリや、ガジェットが次々と出てきます。あるいは、面白そうな人に会う、新たに楽しそうなイベントや集まりに参加してみる。これらの新しいことに対してウキウキしなくなったときは、年老いてしまった時かもしれません。実際の年齢ではなく、心の年齢のことです。
いくつになっても、新しいことを始めることができる人は若者です。新たな挑戦、新たな人間関係、あらたな道具、習慣…。新しいことを始めると、最初はちょっとしたストレスがありますが、しかしその適度なストレスが人を若くさせるのです。
適度なストレスは人間をしっかりさせてくれます。
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