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hirom_文麿
2020年7月31日 20:18
頼まれる仕事をこなすごとに首の回りに汗が吹き出てそのうちにそれが冷たい 肩になり下着が纏わってエクリン腺は交感神経支配されてて何故いま緊張しているの?戦っている訳ではない のに戦っている と わが脳の設定は猛烈なねむけにじつは疲れているだけなのだろう木枯し紋次郎だってお風呂に入るように
2020年7月27日 01:49
7月26日日曜日ベートーヴェンの最後のピアノソナタを聴きに行く山を越えようとしてガスに巻かれた向かいから突然車が現れてクラクションを思わずハンドルスピードを落とせ後ろから追突されたくない左の路肩を見ながらスピードをようやく前を走る車がほんのり赤いテールライトだ月光のベートーヴェンのさざ波のトレモロスタッカートが繰り返し呼吸のリズムを支配してリフレイン
2020年7月25日 03:35
氷山の一角だった地上には楊子のような枝が二本伸びた名も知らぬ木をドクダミとともに抜いてしまえでも、地下にはバオバブのようにあるいは大根のように図太い根僕たちはシャベルをスコップにピストルを大砲に絹糸を麻縄に持ち替えたけれどまさか地中でノコギリを引くとは思わなかった根は深く蛸足のように伸びて僕たちは暗闇をどこまで辿れば終わるのか蟻のように小さくなって潜っていっ
2020年7月24日 09:30
金属たちにバイオリンを聴かせる出来るだけきれいな音でできたことしか覚えないからできるまで丁寧に聴かせてあげるするとあるとき金属はじぶんの端っこをすこし震わせ 同じ音色で共鳴する倍音豊かになって帰ってくる音が部屋に響いて金属たちも美しくかがやく倍音をさがす
2020年7月24日 04:21
かりかりかりと珈琲を挽けばただよう香り誘われて現れる人々はみな蒼ざめて死んでいる けれどどの人とも一度は関係したのだから どうぞ いっしょにもう一度娑婆の話をきかせてよ血圧がさがっていく 最期 見えた景色色彩のブルースが流れモノクロームの記憶はそう そうだったねつくられる過去しあわせな珈琲の香りがなぐさめてまたね まっているから
2020年7月23日 17:17
来週はお別れとなる準備をして一緒に過ごした時間のすべてを長大な文章にした数えれば十四時間半となる春のあいだに救われただろうか里山の川のそばから生まれた海へかえろう僕の手の軍手は血に染まっているけれどその手は白く まだ重いものさえ持ったことがない大空と月と星と太陽と大いなる祝福をうけるのだから一緒に祝う人はいない けれど 潮風どこからか香る町へもどってもういちど祝福をうけ
2020年7月23日 08:11
去年のこぼれ種から花壇に生えたヒマワリが二本今年の夏を占っていたうどん粉病に侵されたサルスベリはもうリタイヤする他はなかった 枝は伐られて捨てられた二番咲のバラは豊富な寒肥のおかげでつやつやとした二度目のシュートを伸ばし隣のザクロを羨ましがらせたシロツメクサはエノコロクサの下で太い茎を地面に這わせ今年の長い梅雨が明けるのを待っていた高く、白い積乱雲が青空の蝉の声に震えた