山越え
7月26日日曜日
ベートーヴェンの
最後のピアノソナタを聴きに行く
山を越えようとして
ガスに巻かれた
向かいから
突然車が現れて
クラクションを思わず
ハンドル
スピードを落とせ
後ろから追突
されたくない
左の路肩を見ながらスピードを
ようやく
前を走る車が
ほんのり赤い
テールライトだ
月光の
ベートーヴェンの
さざ波のトレモロ
スタッカートが繰り返し
呼吸の
リズムを支配して
リフレイン
休憩のあと
32番が
叩きだす叫び
戦いを
戦い始めるもう一度、、、
、、、誰と?
誰もいない
自分と?
霧の中へ
何かを
目指して走る
かのように最後の
音が聴こえた