読書感想文 三島由紀夫 命売ります

三島由紀夫 命売ります
自殺に失敗し生き延びた男。どうせ一度無くなりかけた命、この世に未練はないから命を売ろうと言う話。

主人公のハニオは死ぬ気で仕事と向き合うため、肝が据わっている。まさにスパイみたいだ。その態度のおかげであらぬ疑いもかけられる。

何回か仕事で死にそうになるが運がいいのか助かるハニオ。
ハニオは自身が命を売っていたが、ある女と出会いその女が私の命を売りたいと言い、その女がハニオと一緒に死のうとすることでハニオに生の執着が生まれる。ハニオは命を売っているだけで買いたいとは言っていないと言いその女から逃げる。

女から逃げたと思ったら、昔の客につかまりハニオが警察とつながっているというあらぬ疑いを掛けられ殺されかける。命からがら逃げだし、警察に駆け込むも証拠がないため相手にされない。

警察はもし本当なら君の命を買って悪用したやつは犯人だ。だが命を売っている君は人間の屑だただそれだけと言い放つ。

自殺が失敗し命はないものとし生きてきたハニオ。だからこそ何も気にせずに生きてこられた。生に執着があるからこそ悩むんだと気付いた。
だがなにかの弾みで生の執着を取戻し、今まで命をかけてした仕事を警察に人間の屑と言われる。泣きたくなるよね。

この本を読んで死ぬ気でやれよ死なないからという言葉を思い出した。
腹が据わっているというか覚悟が決まっているというか。私に今一番足りないところに響いたのだった。


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