一目惚れした週末限定アイドルの君。
この出会いはあまりにも突然すぎた。
いつも通っていたはずの商店街で初めて君を見つけたとき、時間が止まった。
何事もなかったような顔をして家に帰ったけれど、やっぱり忘れられず、
後日お店を訪ねてみても君はいなかった。
店主に聞いてみた。
「おからドーナツありますか?」
店主は言った。
「土日しかやってないんですよ〜」
「あ、そうですか、、」
(週末限定アイドルか〜い!)
_________________
3度目の正直でお店に向かった土曜日の16時。
いた。
夕焼けに照らされた君との再会を祝し、家までご招待。
サーターアンダギーにもちっと感を足したような君。
どこか懐かしい味がする。
おからのボソボソ感は全くないのに、大豆の風味がほのかに広がって、
優しく微笑む大豆くんがじわ〜っと現れてくる。
口の周りにつくテカテカの油さえも愛おしい。
____________________
最後の一個を食べるとき、
やっと出会えた嬉しさとともに、
「また来週」と別れを告げた。
(ドラマ化決定)
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?