リモートワーク マネジメント Vol,2
前回 Vol,1で、テレワークの時のマネジメントにおける課題の提言をいたしました。今回は、その一つ目の「信頼・信用問題」について掘り下げます。
つまり、テレワークで会わない部下たちと仕事をいっしょにする際のリレーションシップってなんっすかね?という話です。
マネジメントの誤解
本題に入る前に、前提となるマネジメントについて考えます。これはテレワークだろうとオフィスワークだろうと同様の話です。
マネージャーになったばかりの時「責任者になって人に正しいやり方で物事をやらせるというのはどんなものだろうか」と効果的な組織を運営する方法についてのアイデアをめぐらしていたのではないでしょうか? 普通はそう考えるんじゃないかな?
ただ残念ながら、そもそもこのスタート地点が誤解だと思うんです。とはいえ、上司としての形式的な「権限」をうまく活用して、チームの結果もしくは、部下の結果に影響を与えたいと思うのは自然な意識だと思います。
しかしながら、そのように張り切って管理しまくると、部下は受動的になり「駒」化してしまいます。
テレワークだと、このスタイルのマネージャーは、より自分がマネジメントしなければと躍起になることで、距離が離れてしまった部下たちを24時間管理してなんとか「動かそう」としてしまいます。
そして、結果が伴わないと自分が「マネジメント」できていないと思い、余計に管理(もはや監視に近い)に集中してしまい、部下は言われるがままにただ動くという関係になってしまいます。
「結果コントロール」における「結果」は、部下の目標に対しての結果であるはずが、いつのまにか、上司が求める「結果」になってしまいます。
こうなると部下としては、結果がどうであれ、言われたことをちゃんとやってるわけだし、なんか悪いんだっけ?みたいな受け止め方を当然するでしょう。
この流れは残念ながらミスマネジメントの例として、やっちまったパターンです。
「結果コントロール」は、部下の結果にコミットしていく
テレワークの長所って、自宅にいながら仕事ができるわけです。これってどう考えても公私混同です。公私混同がメリットなわけです。子供の面倒見ながら仕事しているかもしれないです。テレビ見ながらかも。しかし、それがダメなんじゃなくて、そういう働き方をすることで、逆にいい「結果」になったよね!という状況を生み出すことがマネージャーのミッションですよね。
ということは、極端な話、目が届かないなら、「目を配らない」。その代わり部下が結果にコミットできるよう「気を配る」ことにフォーカスしたら良いんじゃないですかね?
”コミットメントや態度や行動の変化を得るためには、管理者は他の人に権限を与えなければならない。エンパワーメントとは、他の人と力を共有すること、つまり、他の人にも影響力を与える可能性があるように、地位的にも個人的にも力の源を提供することを意味します”(*1)
ってなわけで、思い切っての権限移譲です。まかせちゃう。そして、「あなたができないとなにもできない」ことを意識させるのです。
100%の信頼と120%のサポート
部下への権限移譲。ぶっちゃけ不安でたまらなくなります。
「ちゃんとできないんじゃ。。」「やる気ないんじゃないか。。」と、まあ、夜中に不意に目が覚めたりするわけですよ。
でも、どうしようもないんです。朝、「いまから仕事しまーす」から夕方「今日はこれで失礼します」とテキストが飛んでくる間、ほんとに何をしているのか全くわからないわけです。
だったら、100%信用しちゃう。ちゃんとやってくれてるはずだと。
僕はこの前提になった瞬間からマネジメントのスタイルが全く新しいものになりました。このスタンスを起点とすると一つ気がつきます。
「100%信頼してるけど、たぶんちゃんとできないんだろうな」と思うわけです。
だったら、「部下が」目標達成できるためには、自分は何をしてあげれるかな?という風に考え始めました。
そうするとマネージャーとして部下にするべきことが見えてきました。
マネージャー(自分)でしかできないあれこれを、部下のために動く。教えてあげる。
そうしてマネージャーとして影響を与え続けることで、部下は成果を出せるようになります。「自分でできた感」とともに成功体験がつめるようになります。そうすると、次もがんばろう、自分が成功したい。と欲が出てくるものです。
この意識が、「自主的に行動する」方向に向かい始めます。どういう風に仕事をすると成果が出せるのか?を自分で考えるようになります。そんな意識高い部下は「さぼる」とか「ごまかす」とかの概念すらなくなります。
このような状況になると、
・上司は、部下に結果を出してもらいたい。
・部下は上司のサポートを利用してより成果を出したい
というWin-Winの相互依存関係が生まれるわけです。
僕はこのスタイルで一番良いなと思ったことは、こうした1対1の関係性でマネジメントは距離を必要としません。自分をクラスターとして世界中どこにいる人とでもつながるネットワークを築けることです。
いかがでしょうか? これまで遠隔でマネジメントしてきた経験から、わりとうまくいったなぁと感じた僕流のマネジメント論です。
次回は、このリレーションシップを前提とした「コミュニケーション」をテーマに議論していきたいと思います。
Reference
*1 Professor Linda A. Hill,1994, Exercising Influence, Harvard Business School
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