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劣等性と劣等感は違う ~救いは「所属感」~
アウトプットすると知恵や知識が身に付きやすいということを聞いたので、最近読んでいる本の内容をアウトプットしたい。加藤諦三氏である。
加藤氏は、なんかの人生相談を40年以上続けている学者さんで、心理学に精通している。
自分のことを考える上で、大きなヒントを与えてくれる本をたくさん出している。
詳細は忘れてしまったんだけど、ロンブー敦のラジオにゲスト出演していて、「なんで心理学を志そうと思ったんですか?」という質問に対して、「ナチスドイツが行った大量殺人がなぜ発生したのかを知りたかった。大体答えが出ているので、生きているうちに本にしたい」と言っていた。筋の通った答えだと思った。
ついでに、「人間の悩みはここ何十年どころか、何前年も変わっていない」と言っていて、まぁよく言われることだけど、そうなんだろうなと思った。おれも、想定できうる最大の不幸が自分に降りかかってくるとは思わない。想定の範囲内の幸福と不幸が俺に降りかかるだろうし、それをマネジメントしていくために、不安定な時もある。人間だもの、ってことで、まぁ今はある程度中立的な考えができるんだよな。
俺は今、人間関係に疲れている。
ただ、なぜ疲れているのかと考えると、やはり尊敬しあっていたり、愛し合っていたりする人間関係でなく、憎しみやずるさ、弱さ、狡猾さのループに入ってしまっているだろうと思う。それは、加藤氏の「劣等感がなくなる方法 ~人生が変わる心理学~」というのを読んで理解したことだ。
劣等感があると、自分で自分を軽蔑することになる。
結果、自分より他人は立派であると考えるため、卑怯な人に使われる。
ただ、これはどっちが使って使われて、ということじゃないんだ。
使われる側も、使える人間を探していて、使っている側も、使える人間を探している自分よりも強い人間に使われるという地獄のループが存在している。
「自己蔑視した人は、都合のいい存在」という項目で、「家族でも友達でも仲間でも病理的な集団というのがある。その集団は誰かを犠牲にしながら維持される。そしてその皆の犠牲になる人が多くの場合、自己蔑視した人である」と書かれている。
うつ病者を生み出す家庭の特徴が層らしく、うつ病になる人はその家庭の中で縁の下の力持ちでありながら、皆から尊敬されているわけではないという。こういう人、いるよなぁ~と思う。
俺も長い人生の中で、そういう人を探して使ってきたという自負がある。あまり使われた経験はそこまで多くないかもしれないが、まったくゼロでもない。ただいずれにせよ、使ってきているということは、あくまでもその環境下でうまくやっていただけであって、自分が入っているループは同じところにいるということだ。
多分、人間関係に疲れたというのは、この「使った使われた」「こいつは弱そうだから使えそうだ」「こいつの弱点はここだからここを押せばどうとかこうとか」とかそういう地獄のような日々に疲れたのだ。こっちがそうみているということは、たいていの場合相手もそう見ている。
このループに入ると、やがて人は攻撃的になる。
最初は攻撃などししないが、費用対効果に見合わないとなると攻撃的になる。
その攻撃は、どこかで相対的な力が中間地点に差し掛かると、一方的ではなく、応酬になる。ここになると、使う使われるのがどっちだとかいう話ではなくなる。どっちもつらいのだ。
この人間関係を作り出す源泉にあるのが「劣等感」だと加藤氏はいう。
「劣等感ということについていえば、足が遅いという劣等性を持っている人が、速くなろうとがんばって練習することは最悪の対処方法である」という。
なるほど、と思った。
同氏いわく、劣等性と劣等感は違うという。上のように、足が遅いという劣等性を、所属するコミュニティの中で受け入れてくれれば、それは劣等性に留まり、劣等感を誘発する理由にはならない。だから、劣等性と劣等感は違うのだ。まじで、なるほどだ。その通りだ。
だから、本質的に精神的病理を誘発するのは、「所有感の欠如」なのだ。優位性があっても劣等性があってもそれを平等に受け入れ、自分が自分であることを受け入れてくれる愛情のプラットフォームの存在があれば、人は自分の劣等性を劣等感として捉えず、生きることができる。
劣等感がなければ、過度な優越感を獲得しなくてもいい。
「普通の人」でいられるのだ。
この「普通の人」「まともな人」これがいかに大切な状態か。
おれは40歳のこの年になって分かった。
普通の人になりたい。
そのためにチューニングしようと思う。
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