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建築・街のデザイン

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建築のデザインや街づくりに関して個人的に思ったことや記事を収集してまとめていきます。
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#建築

【働く場を考える】オフィス空間の「天井」は、必要か?

建築空間における、物質的な「天井」について、 最近、考えていることを書いてみます。 今回は、建築マニアックなnoteになりますが、 どうぞお付き合いください。 スケルトン天井の人気について、ひとこと言いたい!スケルトン天井とは、内装の仕上げ作業を行なっていない状態の天井。 コンクリートがむき出しの状態なので配管や配線が丸見えとなる。 イメージは、上の画像のような状態である。 10~15年くらい前より、スケルトン天井が建築界隈で流行ってきた。 リノベーションやコンバージョ

不動産会社設計部というところ

(このnoteは一度3年前に書いてて、大きく更新をしています。) 僕は、都内の不動産会社の設計部に勤務している建築士です。30人くらいのちいさな事務所で、仕事がやりやすい規模なので風通しがよい。 そんななかで、不動産会社の設計部とは、その学びとは? をふりかえって考えてみました。仕事に特化した自己(自社)紹介みたいなものですので、気軽に読んでください。 1.一般的な不動産会社での設計業務との比較 多くのデベロッパーの設計部がやってることって、自社で仕入れた土地にどれだけ建

自分時間、他人時間

設計で大切なことは何ですか? 斬新で美しいデザイン? 僕もそんな建築設計を目指しています。が、一番大事にしていることではありません。 それは「建築主と一緒に決めたスケジュールを守る」ことです。意外ですか? 建築を取り巻く条件の中には、工事費などのお金、建築主の要望、敷地の特性などいろいろありますが、とりわけスケジュールは大事だと考えています。 建築主と話し合って決めたスケジュールは、できるだけ守るようにしてあげたいと思っています。工事費も大事ですが、スケジュールというの

コストをデザインすること

建築コストをデザインすることはとても重要です。どこもかしこも最上級の技術と素材を使えるような建築は、ほんのひと握りです。コストの視点でいえば、こだわりすぎないことにこだわるような、そんな姿勢が大事なのではないか、という考えのまとめです。 いつもじゃないけど、有名な建築家の家や美術館を見ていると、その全てに気が配られていて、コストかかっているなー、いつかこんな建築やりたいなという目で見ています。 こんな建築はひと握りで、だいたいの建築家はみな、コストには悩まされているんじゃ

手書き表現技法としての「虫瞰図」のすすめ

虫瞰図。「え、何?」と見慣れない言葉だろうと思います。以前勤めていた設計事務所の上司から、この表現技法の存在を教えられ、いまや僕の設計ライフでは欠かせないものになっています。 ”むしかんず”と僕はよんでいます。正しくは”ちゅうかんず”と読むのかしら? 漢字変換もままならないので、一旦みんな知ってる”鳥瞰図”と打ってから、”鳥”を消して強引に”虫瞰図”とPC画面上で文章を打っています。以下の”虫瞰図”はすべてコピペです。 建築のパースで良く用いられる「鳥瞰図」とは対をなす表

ツールとしての『手書き』を建築設計でどう活かすか

今日はとても暖かいですね、だから強めの風も、適度に肌を冷やし心地よいです。 たまには役に立ちそうなことを書いてみたいなあ、とふと思い立ち、 建築設計における「手書き」の使いどころとは、何かと考えてみました。 どうでしょう、設計を志している方や、すでに実務を行っている方にとって、「手書き」の存在意義はどこにあると思いますか。 建築設計者向けの、「手書き」での透視図や図面の書き方が記されている書籍は多くありますが、その多くはプレゼンテーション向けになっている気がします。

繊細なバランス感覚で設計された、豊かな“関係性”のデザイン【観察スケッチ】

アーキテクチャーフォトのサイトを見ていて、なぜか強烈に印象に残った、神戸のアトリエ兼住宅建築“hat house”。建築家の阿曽芙美さんが行った空間デザインの具体的にどこに魅力を感じたのか?分析するために観察スケッチを行いました。 インスタグラムで観察スケッチのメイキング動画を発信しています。こちらもよろしければご覧ください。 インテリアのスケッチは外観の5倍くらい難しい。笑 (家具や小物など細々したもののパースや配置取りに苦しむから) 書きたい空間をうまくスケッチに落

ワークプレイス,どんな主体を時代の先端として捉えるか?─『新建築』2018年7月号月評

「月評」は『新建築』の掲載プロジェクト・論文(時には編集のあり方)をさまざまな評者がさまざまな視点から批評する名物企画です.「月評出張版」では,本誌記事をnoteをご覧の皆様にお届けします! (本記事の写真は特記なき場合は「新建築社写真部」によるものです) 評者:連勇太朗(モクチン企画)×中村真広(ツクルバ) 「そもそも『オフィス』的な機能や空間がなくても働けるじゃん」連  今,「働き方」があらゆる領域で変化しています. 働くことの概念の変容が,社会を変えていくことに直

エモい3D

エモいレンダリングが作りたい。 目下検討中の案件だ。 ベトナムの設計事務所で働いて得たものの中の一つに、レンダリング技術(3Dイメージの作成)がある。 弊社の主なワークフローは、 AutoCad(2Dスタディ) -> Revit (図面作成+3Dスタディ+モデリング) -> 3dsMax (レンダリング) となっているが、特に最後の3dsMax (レンダリング)は施主とのコミュニケーションの上で非常に大切な要素だ。 ↑GF restaurant in the r

どうすれば「作り手」のように考えることができるのか?

先日、とある建築家の方と話をしました。話を聞きながら、ぼくのあたまには「ユーザーであるぼくたちは、どうすれば建築家のように考えることができるだろうか?」という問いが浮かびました。 ぼくは兼ねてから、ぼくが得意なワークショップ・デザインとは「クリエイターの技術を体験可能なものに翻訳すること」であるとしています。というわけで今日は、建築家の技術を翻訳してワークショップをつくってみたいと思った話を書きます。 誰もが空間づくりを担っているぼくたちはいつも空間を工夫して使おうとしま

「都市とモビリティ 〜自動運転車時代の都市を考える〜」メモ(トヨタ「Woven City」をきっかけにver)

トヨタが静岡県裾野市にコネクティッドシティである「Woven City」の計画していることを発表しました.これをきっかけに自動運転と都市の関係を考える機運が出てくるといいですね.ということで2018年5月29日に書いた自動運転と都市についてのレクチャーメモを少し加筆して再掲載します. 先週金曜日5/25に自動運転とまちづくりについてのレクチャーを拝聴してきたので,簡単に備忘録.自動運転の議論が建築・都市でも盛り上がるといいな. (2019.08.26追記) ご著書が出てま

建築の法律にアプローチして生まれた“オフィスビル”の新しい形態[観察スケッチ]

オフィスビルや雑居ビルの設計に興味があったので、グッドデザイン賞と日本建築学会賞を受賞した、荒川ビル[スタジオノラ+日建設計]の観察スケッチを行いました。 造形の特徴もありますが、根本的な発想が本当に新しくてこれからのビル設計の常識を変えるんじゃないかと思えたので是非実際に観に行きたいと思っている建築です。 インスタグラムで観察スケッチのメイキング動画を発信しています。こちらもよろしければご覧ください。 ◾️避難階段でビルをデザインすることで機能的なメリットを作っている

建築目線からシカゴのApple Storeを見に行く

これが正しいことなのか、いささか自信がないのだけれど、設計者の端くれとして建築を見に行くとき、どうしても建物によって2通りの見方を使い分けてしまう。 ひとつは分かりやすくて、歴史的評価の定まった「名作」を見に行くとき。この時は、我ながらそれなりに純粋で謙虚な気持ちで見学していると思う。時代の到達点に感心し、卓越した空間や造形に息を飲む。本当に凄い建物のときは、気が済むまで佇んだりする。 もうひとつは、所謂「新作・話題作」を見に行くとき。このパターンになると、一転して大体い

LAの【無料】美術館巡り(その②:The Broad)

ロサンゼルスの無料美術館見学記。前回の記事ではその1つめ、リチャード・マイヤー氏設計の「ゲッティ・センター」について書きはじめたのだけど、案の定というか、脱線したりして長くなってしまった。が、今、本当に感想を書き留めておきたいのはもう1つのほう、「The Broad」だ。 ー 【無料】ミュージアムその2:The Broad改めて紹介すると、この建築は2015年にLAのダウンタウンにオープンしたミュージアム。隣にはフランク・ゲーリー氏のウォルト・ディズニー・コンサートホール