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【読書メモ】ザ・コーチ
作者:谷口 貴彦
発売日: 2012/05/31
メディア: Kindle版
目的
サブタイトルは「目標の達人ノート」。“書く”、“ノート”、“筆記”など、書くことに対するアンテナが高くなっており、“新しい発見などがあるかもしれない”との想いで本書を読んだ。How to的な要素が強かった。
内容
住宅メーカーの営業二課係長の星野雅彦は、老紳士の大蔵秀雄との出会い、コーチングにより自らの人生の目的を見つける。
<サマリー>
「目標の達人」になるためには、「知識」「能力」「道具」の3つの輪がある。この3つを真剣に考え、優先して取組む
目的を頂点とするドリームツリーを描く。「ビジョン」「目的」「ゴール」「目標」をしっかりと区別する
これらを明確にすることによるベネフィットは、共感者などとの出会い、人間的な成長、想像もしなかった未来の自分に出会える、など多数
一方障害もある。例えば、変化に対する恐れ、選択と決断に対する恐れ、など
障害を乗り越え、改めて、ゴール設定をすることには無限の可能性がある
ゴールツリーを描くことは自分自身と向き合うこと。自分の価値観に基づくことで行動につなげていく
<ビジョンとは>
ビジョンは鮮明でありありとしていて、その光景を頭の中で見るだけで、嬉しいとか、楽しいとか、ドキドキワクワクするとかいった感情が湧くもの。
人がゴールを手にした瞬間に見る光景、それを今想像する。そして、そのインパクトの瞬間に得られる感情を今味わう。それがビジョン。
ex.次のA-Gを「目的」「ゴール」「目標」に分けてみる
A:次のオリンピックで金メダルを取る
B:10キロのタイムを3カ月で3分短縮する
C:自分が可能性に挑戦することで、子ども達に夢を持つことの素晴らしさを伝えたい
D:今月、合計500キロ走り込む
E:今年の選考レースで優勝する
F:脚力を10%強化する
G:誰よりも速く走って「風」になる
目的:C、G
ゴール:A、E
目標 :B、D、F
これらの「目的」「ゴール」「目標」の3つが揃って目標を立てることで効果が生まれる。
そしてより効果的にするために磨き続けるのが3つの輪。
知識
道具
能力
この3つのことを真剣に考え、優先して取組む。
「ビジョン」「目的」「ゴール」「目標」を明確にすることでのベネフィット
いつもビジョンなどを想い描き意識することで、それらに関するアンテナが高くなり情報をキャッチできる確率が高まる。
夢や目的やゴールを持たず漠然と生きている人と比べ、入ってくる情報の質と量が全く違う。
ビジョンなどを明確にすることでのベネフィットは、次のとおり
多くの共感者や協力者と出会い、さらに大きなことを成せる
精神的に強くなり、さらなる大きな決断の時に勇気を手にする
人間的に成長する
人と人との絆が生まれ、人生の宝を得る
人生がワクワクやドキドキにあふれた、感情豊かで感動的なものになる
知識が増える
選択力が増す
決断力が増す
集中力が増して、パフォーマンスが高まる
知識・能力・道具が増えて価値ある人になる
失敗の体験から次の成功のための糧を手にする
どん底にいる時、詩人になり、魅力的な人物になる
可能性の扉が開き、想像もしなかった未来の自分に会える
精神的な視点が高くなり、人生で見る景色が変わる
人生を存分に堪能できる
「ビジョン」などを描く上での心のブレーキ
ビジョンを描き、そこに向かって行動するのは大切である。しかしそれを頭では理解しているものの、実際に行動に移せるのが難しい。なぜだろう?
夢やゴールや目標を描いたり設定するときにかかるブレーキとは?
他者との比較による批判や、非難から受ける負の感情
結果だけで自分の価値を決められる評価
夢やゴールそのものに対して、他者の価値観によって向けられる批判
結果による人格否定
弱みを克服することばかり強いられる経験
学習性無力感
夢やゴールや目標に対する無知
変化に対する恐れ
選択と決断に対する恐れ
これらのブレーキを軽くするためには、
小さいゴールを多く立てる
知ることはできるの始まり。WHY-WHAT-HOWが揃うとイメージが湧きやすく、行動につなげやすい
夢やゴール目標に対するビリーフ(信念を書き換える)
評価軸を変える。成長の過程に価値を置く考え方
失敗や挫折をポジティブに
いつか訪れる大きな夢やゴール設定のため、日ごろから小さな決断と選択を訓練
日ごろから小さな変化を起こして、自分自身を変化に慣れさす
組織において、部下にゴール設定する時のポイント
目標設定のポイントは、会社の目標と個人の目標の接点を見つけて共有すること。
部下にゴールを設定する目的は、結果に対する責任を押し付けるのではなく、ゴールに向かう課程で部下を成長させることです。ゴールに対する結果の責任は、与えた方にあるということです。
部下は結果をコントールすることはできません。結果は行動という原因が生み出すもので、外部要因も大きく影響します。だから、上司が関心を持つのは、部下の行動と成長と感情なんです。上司は結果に責任を持ち、部下は自分の行動と成長に責任を持つ。この責任の所在を目標設定の時にお互いに共有していないと、信頼関係は生まれません
あなたを大きく超える後輩をたくさん育ててください。それが社会貢献であり、次の世代へのバトンになります。
行動によって価値を高める
生きがいや、やりがいにつながる目的とゴールをセットで設定することで、行動に意味が出てくる。
感想
当初の本書読破の目的は、ノートの書き方など、How toのようなものなど、実践的な気づきが得られればと思っていた。しかし、自分自身のビジョンを描くのはもちろんのこと、上司としての理想像を考えさせられるなど、期待値をかなり超える内容であった。
生きがいや、やりがいのために行う行動は、筋が通ったものであり、周りの人もきっと気持ちいいだろう。この積み重ねが信頼関係を構築していくのか。
そして、信念があるからこそ、部下も「この人のようになりたい」「この人を超えたい」と感じる。こんな職場はきっと活気があり、皆が前向きでワクワクするだろう。そんな信念がある人たちが顧客に提供する価値は、プライスレスなものになり、顧客満足度も向上するだろう。
このような職場を作っていきたい。そのために、まずは自分がビジョンを再構築し、少しずつ影響力の輪を広げていく。自分が想う理想の上司になろう。
アクションプラン
自分自身のビジョンを見つめ直す(価値観や強みも)
理想の上司像を描き、行動を起こす