見出し画像

悪魔のほうが強いので2体に増やしてみた/"習慣"少年ジャンプ

時は2008年。私が中学3年生、受験生の頃。

天の使い舞い降りて曰く、
「“私の国に、こんな言葉があります”。『早起きは三文の徳』。弟に邪魔されることもなく、心穏やか、脳がスッキリした状態の朝の方が集中でき、勉強がはかどりますよ」と。

それもそうだ、と純朴な少年は真に受けた。

明くる日の午前5時。

けたたましい目覚まし時計を止めに起きる。

悪魔が耳元でこうささやく。
「これこれ、睡眠不足は良くない。そんなんじゃ日中ずっと眠いままじゃないか。そんな状態で授業に望んでは本末転倒そのもの。あと2時間ぐっすり寝て、万全の状態で授業に挑んでこそ、学生の本分であろうよ」。

少年は、さもあり、と聞き入れる。

悪魔が勝利した。


少年は反省した。

しっかりと反省した上で天使をクビにした。

代わりに、悪魔をもう一体。週230円で雇った。

名を“週刊少年ジャンプ”という。名高い受験生の天敵・天魔である。


戦略はこうだ。

天使と悪魔では、悪魔のほうが強い。自己実現欲求の天使よりも生理的欲求の睡魔の方が断じて強い。元来戦わせるのもナンセンスである。

だから、私にとって生理的欲求と同等の欲求=“週刊少年ジャンプ”に睡魔と戦ってもらうことにした。目覚まし時計をジャンプの下にセットする。


翌朝。

アラームを止めるために、少年は未読のジャンプを左手で持ち上げる。右手で時計を制し、ジャンプを見つめる。

月曜日はルフィとララが、
火曜日はナルトとスケット団が、
水曜日はセナとトリコが、
木曜日は銀さんとぬらりひょんが、
金曜日は亜城木夢叶とジャガーが

少年に代わり、睡魔と戦い、追い払ってくれた。

いいなと思ったら応援しよう!

小さなテーブルに花束を/神長広樹
コーヒーをご馳走してください! ありがとうございます!