小さなテーブルに花束を/神長広樹

エストニア、タリン工科大学院電子政府学科卒業。現地のIT企業に就職。何もしないという「期待値0分散0」よりは、だめもとでもなにかする「期待値-1分散1」を取りたい派です。ヘッダーは「電子政府X旧市街」をモチーフにサキナオコ(~/sakinaoko/)さんに描いていただきました!

小さなテーブルに花束を/神長広樹

エストニア、タリン工科大学院電子政府学科卒業。現地のIT企業に就職。何もしないという「期待値0分散0」よりは、だめもとでもなにかする「期待値-1分散1」を取りたい派です。ヘッダーは「電子政府X旧市街」をモチーフにサキナオコ(~/sakinaoko/)さんに描いていただきました!

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「私のほうが先に降りるから」と助手席に腰を下ろしたマーニー

運転技術には3段階あると思っている。 安全運転は最低限として第一にバック駐車が円滑にできること。第二に同乗者が気づかないほどにアクセル・ブレーキの使用がなめらかであること。そして第三にその同乗者との会話がスムーズであること。ひっくるめると“滑”という漢字に他ならない。それが走行方向、加速度、あるいは空気という次元で交差し、それがDrive(転がすこと)の楽しさなんだと思う。この楽しさは大学生の時、ある二人組のイタリア人から学んだ。 私が通っていた筑波大学は南北に4kmも伸

    • 最後に仲直りをしたのはいつですか?

      大人になるにつれ、謝ることが難しく感じる。 自分は悪くない。 謝ると敗北を感じる。 そんなことは自尊心が許さない。 過去の自分を否定するようで、不安になる。 その状態で、追撃されるかもしれないのが怖い。 子供の頃、 親に、先生に、コーチや監督に叱られた。 そして、謝った。 謝る対象は、彼らであることもあったが、多くは友人だったと思う。喧嘩両成敗のもと、時には「なんで俺が謝らなければいけないのか」と理不尽を感じることもあったが、それはそれとして、仲介役に引き立てられ、謝

      • 昼下がりの日曜日

        その国の首都は、花屋に似ている。 赤、黄色、ピンク。 日常見慣れないこれらの色に私の心は浮足立つ。 そのまま奥へ奥へと誘われて。 すべてを選んであげたいけど みなで私の部屋を埋めたいけど 一昨日フレンチで使っちゃった。 だから、目が合ったそこの君と君。 特別。 私のお家にいらっしゃい。

        • 初めてサポート頂きました! 感激です!ありがとうございます! コーヒーをがぶ飲みしたいと思います!

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        • ミカタを変える
          13本
        • ありがとうございます!オーバー100スキs
          4本
        • 電子政府案内
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        • コミュニティ
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        • 麦わらのひと味
          2本

        記事

          性格とは「今ココの選択」である

          「わたし、そういうキャラじゃないんで。」 ふたりでバカなことを考えていた。とりとめもなかったが、割といい感じのアイデアが浮かび、盛り上がっていた。そこで「一緒にやろう!」と切り出し、返ってきたのが冒頭のセリフである。 青空だったのに、雷鳴が響いたような気がした。 『いや。。。文脈おかしくない?ノリノリやったやん。』 キャラじゃない、と言われた。 そういう性格ではない、と。 あの時、どのような性格なら、ノッてくれたのだろうと考えていた。 考えてわかったのであるが、性

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          悪魔のほうが強いので2体に増やしてみた/"習慣"少年ジャンプ

          時は2008年。私が中学3年生、受験生の頃。 天の使い舞い降りて曰く、 「“私の国に、こんな言葉があります”。『早起きは三文の徳』。弟に邪魔されることもなく、心穏やか、脳がスッキリした状態の朝の方が集中でき、勉強がはかどりますよ」と。 それもそうだ、と純朴な少年は真に受けた。 明くる日の午前5時。 けたたましい目覚まし時計を止めに起きる。 悪魔が耳元でこうささやく。 「これこれ、睡眠不足は良くない。そんなんじゃ日中ずっと眠いままじゃないか。そんな状態で授業に望んでは

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          「十人十色」って、もしかしてこういう意味ではないかしら?

          「十人十色。 私らしい、私独自の色を探さなきゃ」 黒柿と根岸色の似合う洒落た喫茶店に『推し、燃ゆ』を携え来店したというのに、珈琲をお願いし、本を開こうとしたその瞬間の聞こえてきた会話が、私の思考回路を奪う。大学生というよりはOL という雰囲気が漂う若い二人。アイスコーヒーを両手で持ち、ストローで遊びながら時折上目遣いに相槌を打つ聞き手と、スラッとした長い指で引っ掛けるカップが印象的な話し手。 十人十色。 私らしさ。 私の色。 「あなたの色はなんですか?」という問に果た

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          保守とは「品位を保ち、節操を守る」モノでありたい

          トランプさんを応援していた。大減税により米国主要株価指数の過去最高値を更新し(コロナ前の実体経済との乖離が低い2017年)、黒人の失業率を過去最低水準に下げ、特に子どもを中心とした人身売買を断つためにメキシコとの国境に壁を建設し、世界を恐怖に包んだISISを根絶し、ここ数十年で一度も戦争をしなかった大統領であり、日本の拉致被害者とも膝を合わせて耳を傾け、国連で横田めぐみさんの拉致を取り上げ北を非難し、絶対に不可能と言われた中東和平を取次、中国の実態を世間に暴露した、からだ。こ

          保守とは「品位を保ち、節操を守る」モノでありたい

          「スノースマイル」のセカイをアルク

          大人になって口吟む曲は、中学生の頃にハマったものが中心らしい。雪が積もる世界になって私は、BUMP OF CHICKENの「スノースマイル」を口遊むようになった。単純なものだ。 特にウインターブーツではないので キレイなままの 雪の絨毯 を刻む勇気はないのであるが、そうはいっても、朝の会社へと続くショートカットを通過するには避けられない時がある。 遅刻する、か、足がかじかむ、か、を選択しなければならない。 仕方ないので、勇気をもらいに「スノースマイル」を口にする。

          「スノースマイル」のセカイをアルク

          固まりきれない氷の上に立つように

          どんよりとした厚い雲の日々。首都タリンはとうとう最高気温も氷点下となってきた。セントラルヒーティングで暖められた団地の共同玄関を抜けると新鮮な空気が肺を清める。体感気温としては、まず間違いなく、気温が下がるに連れて低く感じるのだか、なぜか氷点下の空気はどこか生命力に満ちているようで一息でシャキッと身体が目覚める音がする。暖房で怠けていた細胞たちが自ら熱を発する、そんな体の強がりが心を温めてくれる。 反対に2,3度といった中途半端な気温が最も寒い。 「これで晴れていてくれれ

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          「小学生にでもわかるように」だなんて、僕はあなたをそんなふうに馬鹿にはできない

          もしこの言葉が小学生から言われていたり、あるいは広告のように小学生も含めた不特定多数者を対象にしているなら別だが、僕は「小学生にでもわかるように」という免罪符に嫌悪感を覚える。 例えば僕であれば、相手の話がわからなくて噛み砕いて説明してほしいのであれば、 「27の大人にわかるように」、 あるいは 「〇〇の修士レベルの者でもわかるように」 といった枕詞を添えるのがまだフェアな言い分だろう。 もし、相手がこれらを考慮してくれて、それでもなお、自分が理解できないとなれば、そ

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          ハイエナが巣くう地方の闇と優しいカモ

          2017年夏。僕はエストニア留学資金を稼ぐために地方の老舗温泉旅館に住み込みで働いていた。1日約11時間、週6で3ヶ月。朝は6時から僕は厨房に。そこには大手の求人サイトを通して応募しており、時給は900円くらいだったと思う。一日の労働時間が8時間を過ぎたらしっかりと手当が出ていた。 僕の少し前に入ったばかりの40歳位の男性がある日こう話してくれた。 「この旅館借金があるんだってよ。2億だぜ」 借金がある事、それ自体はそう珍しくもない。2億という額はどう捉えていいかわから

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          “脳粗鬆症”−わかりやすさが招く自己不安

          以前も表明したが私は「長文失礼します」という冒頭のくだりがすこぶる嫌いである。それは文化の破壊に繋がるからである。 そもそも何文字以上が長文に値するのか明確な規定がないにも関わらず、雰囲気で長文と認定し、「失礼します」と断りを入れるくらいだから「長文=悪い」という体裁を押し付けてくる姿勢に嫌悪感を覚える。 そりゃ、メールを開いたと同時に改行もなく、句読点も少なく、画面いっぱいに文字が並べばこちらも読む気が失せるのは間違いないが、それは長文だからではなく、例えば文章としての

          “脳粗鬆症”−わかりやすさが招く自己不安

          YouTubeを時間泥棒から戦略的パートナーに変える方法

          「そういえば、モーツァルトは集中力向上に良いらしいからBGMとして流そう」と思い開いたYouTubeが、いつの間にか3時間も私の貴重であるはずの時間を奪っていた。。。ということはあるあるのハナシ。 自分はなんて自己管理能力の低い人間なんだ。。。と毎度反省するも、それを開くたびに、「次のおすすめ動画」がこれまた絶妙なチョイスでやめられない止まらない。そんな惰性にケリをつけたい。 根性論ではなく、戦略的に。 以下の方法は、一応論理的にも間違ってはいないと思われるが、主に経験

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          どこか遠い場所への行き方

          文章を書きたいと思うのだが、なかなか良い書き出しが定まらない。一度掛かったエンジンがスルスルと車体を転がすように、スタートさえ決まれば後は半ば自動で筆が進むと打算を踏んでいるのであるが、幾度キーを捻れど、エンジンは苦しそうな声を上げるだけで。もっとも現代はボタン式だから、ちょいと押すだけでよく、押してもエンジンが掛からないということは滅多に無い。「なかなか良い書き出しが定まらない」とTwitterの投稿を渋っている人なんて天然記念物より珍しいし、Instagramに関してはも

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          「ネット選挙」はいくらコストを下げれるか?エストニアを事例に

          都知事選に立候補する(との噂の)ホリエモンこと堀江貴文さんが提唱していることから「ネット選挙」に注目が集まっている。コロナ渦で外出自粛モードが続き、密になる恐れのある投票所という事情を鑑み、選挙そのものをネットに移行させようというものだ。 導入1。ホリエモンの論点 彼の論点をまとめると 1)スマホの普及率が9割を超え、皆がインターネットにつながる環境に近づいている。 2)従来の選挙時の本人確認そのものがしっかりと行われているわけではない。 3)老人ホームや認知症患者を対象に

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