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ビタミンD補給は代謝障害のある高齢者の酸化DNA損傷とインスリン抵抗性の両方を軽減する

概要(Abstract)

背景

研究によると、ビタミンD欠乏はインスリン抵抗性(IR)の発症に関与しており、高血糖や脂質異常症などの代謝障害と関連していることが示されています。

また、ビタミンD欠乏は酸化ストレスの増加とその合併症とも関連していることが示唆されています。

そこで本研究では、ビタミンD欠乏のある45歳以上の代謝障害を持つ個人において、ビタミンD補給がDNA損傷および代謝パラメータに与える影響を調査することを目的としました。

方法

98名の参加者をスクリーニングした結果、ビタミンD欠乏と診断された92名が本研究に参加しました。彼らは以下の2つのグループに無作為に割り当てられました。

ビタミンD補給を受ける介入群(n = 48)と、補給を受けない対照群(n = 44)です。さらに、両グループの参加者は2型糖尿病(T2DM)の有無に応じて2つのサブグループに分けられました。

介入群には、10月から3月の3か月間、1日あたり2000 IUのコレカルシフェロール(ビタミンD3)が投与されました。研究の開始時と3か月後に、ビタミンD濃度(25-OH D3)、内因性および酸化DNA損傷のレベルを測定しました。

また、空腹時血漿グルコース(FPG)、空腹時インスリン、HbA1c、および脂質プロファイル(総コレステロール(TC)、低比重リポタンパクコレステロール(LDL)、高比重リポタンパクコレステロール(HDL)、トリグリセリド(TG))を測定し、体重や身長などの身体測定データも収集しました。

さらに、インスリン抵抗性(IR)に関連する指標として、HOMA-IR(インスリン抵抗性評価モデル)とTG/HDL比を算出しました。

結果

3か月間のビタミンD補給により、2型糖尿病の有無にかかわらず、ビタミンD濃度は一般的に受け入れられている生理的範囲まで増加しました。特に、ビタミンD補給を受けた介入群では、リンパ球の酸化DNA損傷レベルが低下しました。

代謝パラメータに関しては、ビタミンD補給によってHDLレベルが有意に上昇し、HOMA-IRおよびTG/HDL比が低下しました。さらに、2型糖尿病患者においては、HbA1cの割合が約0.5%減少することが確認されました。

結論

本研究の結果は、1日2000 IUのビタミンDを3か月間摂取することで、2型糖尿病の有無に関係なく、酸化ストレスのマーカーである酸化DNA損傷のレベルが低下することを示しました。

また、ビタミンDはインスリン抵抗性に関連する代謝パラメータを改善し、グルコースおよび脂質代謝を向上させることが分かりました。

したがって、本研究は、ビタミンDが酸化ストレスを軽減し、代謝プロファイルを改善することで、インスリン抵抗性および関連疾患のリスクを低減する可能性があることを支持する結果となりました。

source
https://www.mdpi.com/1422-0067/20/12/2891

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