流星と茉莉花①月例テスト

今日は月例テスト。
だがいつもと違うのは、説明会もあるので新しく四年生から入ってくる子が一緒に受けるのだ。
あーおな小のやつもくるかもな…とぼんやり思いながらいつもの塾のエントランスに入り教室までの階段を登る。
いつも学校のクラスで「おちゃらけキャラ」として笑わせ役をしているけれど、実はその頭の中では色々な計算や知識が巡っている。友達の前では「俺、勉強なんか全然わかんねー!」と大げさに言うけれど、本当は成績も上位をキープしているほどの実力者なのだ。
そういうこともあり、この月例テストは流星にとって毎回の挑戦と楽しみでもある。彼は毎回この教室のトッブをはしっており、さらに実力を上げることを自分の目標にしているのだ。

教室に入ると、塾生の子もいれば、学校で見たことのある顔もいる。決められた席につきテストの開始を待つ。
いつもより丁寧にテストの説明がされる。

先生の合図でテストが始まる。問題用紙を見て、流星くんは集中モードに切り替わった。いつもの「おちゃらけキャラ」とは打って変わり、静かにペンを走らせる。計算問題もスラスラと解いていくし、文章題も落ち着いて考えながら解答を書いていく。

テストが終わった後、教室を出るといつも塾で机を並べている友達が近寄ってきた。「おい、流星!今日のテストどうだった?俺、あんま自信ねぇわ…」友達が少し落ち込んだ表情で言うと、流星くんは肩を叩きながら「俺もあんまわかんなかったわー!」と笑いながら言った。

でも心の中では今回もまたできたなぁという満足であふれていたのだった。月例テストでまた前回よりも良い点数が取れているかもしれない。前回は得意の算数で満点を逃したが今回こそは満点を取れた自信があった。

家に帰ると茉莉花がいた。
「ただいま。」
「お帰りなさいー。ご飯まだだからまってて」
茉莉花はキッチンから顔を一瞬だして、慌ただしく戻っていった。
今日はカレーだな。

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