「問いかけ」で若手は育つ
どうやって若手(部下)を育てるか?
上司の大きな役目であり、悩みどころであり、また能力が判断されるバロメーターでもあります。
人によって部下の育成方法はさまざまでしょう。
「職場学習論」(中原淳著、東京大学出版会)に統計(アンケート)分析に基づく興味深い下りがあるのでご紹介します。
~上司は、直接、業務に関する助言指導を行うのではなく、折にふれて部下に内省の機会を与えたり、精神的な安息を与えるような働きかけをする方が、部下の能力向上にとって意味のあるものになる、ということである~
つまり、仕事に関する上司の指導助言は思ったような効果はもたらさない、という結果を導き出しているのです。
ちなみに、仕事上の指導助言でポジティブな効果が得られたのは、「同僚」「同期」だったそうです。
上司の働きかけによって、若手は自分で考えることを行い、内省を深め、多くの学びを得ます。上司から言われたことを何も考えずに受け入れ、そのままやるのでは成長はおぼつかないということです。
「若手に考えさせる」という機会を与えてこそ、デキる上司と言えそうです。
では、「若手に考えさせる働きかけ」とは、具体的にどんなやり方なのでしょう?
答えは、「問いかけ」です。
宮大工の菊池恭二さんの「宮大工の人育てー木も人も『癖』があるから面白いー」(祥伝社新書)にヒントがあります。
菊池さんの師匠で名人とうたわれた西岡常一棟梁について次のように書いてあります。
~西岡棟梁は、質問を受けると、「お前はどう思う」「お前はどうなんだ」とよく聞き返しました。それはつまり、自分の考えをしっかり持てということだったと思います~
上司は、若手には結論を伝える方が早いし、楽に決まっています。
でも、そこをぐっとこらえて、「君はどう思う」「君はどうなんだ」と問いかけ、若手が内省を深めるのを辛抱強く待てば、若手も上司も成長していくに違いありません。
(終)
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