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#同一性

同一性に関わる根本問題2(菅原)

物理的な物に関しては、完全に同じものは無いということが、一つの問題になる。これは、素粒子物理学的に考えた場合、明らかである。素粒子的に全く同じ組成の物体は、二つと無いと考えられるからである。そしてこの点が概念との違いの一つとなる。
概念の側から見た場合、言葉の問題で、同じ言葉(の組み合わせ)で表現された概念は同一であると考え得るのである。この点が物理的な物との違いの一つになる。

ドゥルーズ「差異と反復」 ブックレヴュー2

ジル・ドゥルーズが1968年に出版した著作「差異と反復」は、かれの前半期の営みを集大成する業績である。かれがこの著作の中で展開したのは、西洋の伝統的な哲学思想(それをかれは形而上学と呼んでいる)の解体であり、そのうえで、全く新しいタイプの思想を構築しようというものだった。そうした問題意識は、ほぼ同時代を生きたライバル、ジャック・デリダと共有していたものだ。デリダのほうは、1967年に「声と現象」や

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差異がプラス、同一性がマイナス

そこで、差異がプラス、同一性がマイナスという価値観があったとしての話だが(それは現に、一部の間にある)、マイナスの価値観というものはないので、それらの価値の、正の領域での上下を問うことになる。そこでの比較は、正の領域、負の領域での比較ではなく、正の領域での上下関係における比較だろう。こうして差異と同一性との数量的(数値的)な比較を試みる準備の一端が整った。あとは、何に関する数量(数値)を問題にする

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差異と同一性

差異は世界の複雑性を表す。一方で、同一性は宇宙の単純さを示す。

価値判断の権能

ドゥルーズ「差異と反復」の背表紙に、「差異を同一性から解き放ち」の一言がある。この背表紙の筆者を仮に高く評価して(実際にどうかはまだわからない)、プラス、マイナスの価値評価なしに、こう書き得たとしよう。つまり、差異がプラス、同一性がマイナスと短絡しなかったとする。
差異は、言ってみれば数多性や複雑性へとつながる。一方、同一性は、単一性や単純性をイメージさせる。「差異を同一性から解き放ち」は明快な言

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同一性 二つの意味 Wiki

同一性とは、主に英語の「identity」を翻訳した語であり、多義語である。日本語に即して説明すれば、ひとくちに同一性といっても二種類の意味があり、「Aは何者なのか」という意味での同一性と、「AとBは同じだ」という意味での同一性がある。ウィキペディア

異なる事物が・・・区別できないこと。

1 異なる事物が、その性質から見ると区別できないこと。
一つ、考えられた説明はこうだ。一つのものはもともと同一的なので、それを使っては同一性は説明できない。もともと違っている「異なるもの」が「似ている」ことで「同一性」を説明する。
一方で、定義の2に
2 事物が時や場所を越えてそれ自身に同じであること。自己同一性。主体性。
とある。こちらは、先ほどから言っていた、通常イメージする「同一性」の定義で

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「同一性」と「異なる事物」

天下り式だが、コトバンク によると、同一性は、
同一性
1 異なる事物が、その性質から見ると区別できないこと。
2 事物が時や場所を越えてそれ自身に同じであること。自己同一性。主体性。
とある。先ず1。「異なる事物」である。それが区別できないこと。(その性質から見ると)。一つの事物、でなく、異なる事物、であるところに、通常の感覚とのギャップを感じる。それが「区別できないこと」。ここで一応納得する

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概念と物質1

概念の同一性が可能であることを、物理的な同一性が不可能であることとの、比較・対比によって考えてみたい。
概念の同一性と、物理的な同一性の想定との違いは、そのまま概念と物理との違いだが、それに加えて、何よりも、概念が、無数の概念が同一的でありうるのに対して、物理的な同一性は、文字通りただ一つのものの同一性・唯一性であるという点にある。

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同じであること

同じであること、同一であること、と、異なること、違くあること。同じであること、同一であることは、厳密には、物理的に不可能である。どんな物同士にも、必ず、違いがある。だから、同一であるとは、物理的にではなく、概念的に可能であると考えることができる。ここでは、物理的な同一性とは、先ず物質の同一性のことである。私たちは最初に、物質の同一性の不可能性について考え、次に、概念的な同一性の可能性について考えな

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