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心の根が育つ環境はデザインできる


娘卒園


涙腺へのめくるめくパンチ。
歌あり、大縄あり、太鼓あり。
カジュアルで、手作り感いっぱいの卒園式だった。

お友達や保護者の方々への感謝もそうだけど
例年以上に激務だったに違いない先生方に、
心からの感謝を贈りたい。



0才からの、計6年。
家で過ごす時間のほとんどが実質睡眠だとすると
生活の大半を園で過ごしたことになる。

最初こそ、もう少し自分で育てたらよかったかな?と思ったけれど
我が家に関しては、0才スタートで正解だったかも。

子ども一人でピーピー言うようですが
一対一で24時間過ごす入園までの日々は、とても長かった。

結果、家族の外に、もう一つの家族を授かったことは、
娘の財産になったと思う。


そこからふと「フランダースの犬」のことを思い出し
子が育つ環境について考えてみたくなった。

ネロはあのとき、召される必要があったのか


ばくっとあらすじから。


ベルギーフランダース地方のお話。

とある村にゼハンじいさんと、ネロという少年が住んでいました。
ネロは両親をなくした後、ゼハンじいさんに引き取られたのでした

絵を描くのが好きなネロは、
絵描きになりたいという心に秘めた思い
がありながらも、
貧しい暮らし
の中、
大好きなダースじいさんの牛乳運びの仕事を一生懸命手伝う孝行な孫


そんな二人はパトラッシュという犬に出会います。

パトラッシュの前の飼い主は、いじわるで強欲。
パトラッシュを死ぬほど働かせ、道ばたに捨てたのでした。

ネロとおじいさんはパトラッシュを介抱し、
元気を取り戻したパトラッシュは一緒に牛乳運びを手伝い始めます。

そんな折、パトラッシュが元気になったことを知った前飼い主が
おじいさんに金をせびりはじめ
なけなしのお金を払ったおじいさんたちの暮らしは、より一層貧しくなり。

あるとき、ネロの町で、絵画コンテストが開かれることになり、
優勝者には芸術学校の学費無料と、
芸術に専念するための生活費が保証されるという噂を、耳にします。

ネロのために、コンテストに応募用の紙代を稼いでやりたいおじいさん。
こともあろうに、働き過ぎで、病気になってしまいました。


時を同じくして、親友アロアの父の所有する町のシンボルである風車が、
火事になってしまいます。

そのとき偶然、通りがかったネロのせいにされ、
風評から、牛乳運びの仕事が奪われるという非常事態に。

どんどん生活が苦しくなる中、
とうとうおじいさんがで死んでしまいます。
ネロは正真正銘のひとりぼっちに。


失意のネロは渾身の力で「お爺さんとパトラッシュ」の絵を描くのですが、
コンテストは、落選という結果。

最後の希望も失われたネロは、家賃も払えずパンも買えず、
弱ったパトラッシュを、お金持ちの親友アロアの家に頼もうと、
寒い吹雪の中家を出ます。

途中、アロアの父が落とした全財産を、素直に届けることで、
アロアの父が今までの過ちを反省し始め。

一方、ネロの才能に惚れこんだ一人の画家がネロを引き取りたいと
アロアの家にやって来る
のですが、痛恨のニアミス。
アロアの父は、パトラッシュを残し消えてしまったネロを悔やみます。

残されたパトラッシュは、自力でネロのいる町の教会へ。

クリスマスのその日、これまで有料でお金を払わなければ見られなかった
あこがれのルーベンスの絵が飾られていました。


尊敬する画家の絵を前に、ネロとパトラッシュは力尽き、
天国へと召されるのでした。

私はアニメで見たんだけど、幼心にもやもやしました。

ハッピーエンドでなかったことに、ではありません。


そして数年前、再放送を見ました。
で、ダメ押しの卒園式。
もやもやの正体が分かった気がします。

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おじいさん孫育ての分岐点

つまるところ「コミュニケーション不足」だと思うのです。

ゼハンじいさん、抱えすぎてやしませんか、というところ。

ゼハンじいさん。突然亡くなった訳ではありません
だんだん体の具合が悪くなって、自分の死期を悟っています。

高齢で死期が迫っているんだったら、誰かに託さないか!?
ネロが孤児になるのは見えているのに。


私の疑問はそこにありました。

その気持ちを飲み込んでしまっている。

木こりのミッシェルおじさんという人がいます。

芸術を理解していなかったとか、安いバイト代でネロを働かせたとか
ネットでいろいろご意見飛び交ってましたが、
ネロのことを気にかけて、生活費も置いていった人。

少なくとも、ミッシェルおじさんには相談できたかも?

他にも、高齢のため、娘のところで暮らすことを決めたヌレットおばさん。
引越し前に、一言相談できたかもしれません。

なにしろ、ネロが天涯孤独になる前に、打つ手はあった、と思うのです。

がんばったから必ずしも報われるという訳ではない

だって、人生経験のある人がそばにいたとしたら
どんなに才能あったって
コンペ初挑戦で優勝なんて、そうそうあるもんじゃない
って
アドバイスできると思うのです。

ましてや独学で学んだ絵画。

コンペに勝つにはプレゼンテクニックみたいなものも必要で。

それなしに丸腰で挑んで(←これ自体は悪くないと思ってます)
即優勝だなんて、シンデレラストーリーの設定がむちゃくちゃ
です。

最後までネロのそばで、味方になっていたのは
パトラッシュとアロアだけ。

パトラッシュは犬

アロアはお金持ちのお嬢さん。だけど、決済権のある大人じゃない。

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最近、ちょっと気になる子どものタイプに
自分のがんばりと対価を紐付ける子がいます。

誉めることは素晴らしいこと。

ただ「がんばった」→「誰かが誉めてくれる」が紐付けられすぎて
大人が思い描く「よい子の型」に
寄りすぎてしまっている
ようにも感じます。


人間は、鼻先に人参を下げて走らされる馬ではない。

最終、自分の好きなこと、得意なことが、社会のどこかに辿り着いて
どこかでだれかの役に立つことは大事。

でも、それがどこにあるのかなんて、そんな簡単に分かるもんじゃない。
(←妙齢の私ですら四苦八苦)

だからスタートは、誰が評価しなくてもなりふりかまわない
「好き」「得意」の先行が大事。
勝手にドライブ。
じゃないと、どこかで必ず心が折れてしまう。


でも一方で、誉めることも大事。

わかったような口ぶりで書いている当の本人も又、試行錯誤の日々です。

このバランス、具体的にどうやって舵取りするかはすごく難しい。

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たとえば、ガチャガチャが好きなうちの娘(←宝くじ的ワクワク感?)。
お手伝いにお小遣い制を導入の我が家

洗濯物を畳むと10円。
食器を洗うと10円。
おかずを一品つくると10円。(←おいしいと100円)
でも、義務ではないです。

最近は帰ったらすぐドラえもんで、サボリがちだけど
「やれ」とは言いません。

やりたかったら、やればいい。
そしたら、やってくれたらありがとうの10円。

でも、そんな風に設定してしまうと
私が(たまに)飲むビールを進んでグラスに注いで、
「はい、100円」と要求することがあります。

これ、一瞬躊躇するんですが、
渡さないようにしているんです。

私側の理由として。

私がそのサービスに納得して、
私がありがとうの気持ちで支払う分にはいい
んですが
自分がやりたくて始めたサービスに
先回りしてお小遣いを要求するのは、ちょっと違うかなと思う
から。

小さいことの積み重ねだけど結構大きい、かもしれません。

積み重なると、
イルカが芸をすると必ず餌をもらえることを学習して
自ら進んで「芸」をしてしまう。


だから、これは私なりの愛。

成長は見えにくいもの


100人いれば100人の子育てがあります。

決して、私の価値観が普遍的で正しいとは思っていないです。
だからこそ、他の大人の価値基準を体感する必要があると思うのです。


卒園式での先生の印象的な言葉をご紹介。

成長は根っこのようなもの
すぐ目に見えるものではない

子どもを育てるって、時間も手間もかかります。

特に幼児期は
これから伸びる将来を支えるしっかりとした土台
広くてたくましい根っこを育てることが必要
なのかな、と思いました。

見えている成果を誉めることも大事。
だけど、日々の目に見えない成長を見守ることはもっと大事。



そのために必要なのは、愛。

ほめるだけでなく、我が子のように戒め、諭し、導く。

いつのまにかぼくたちは 一人で歩いていたよ
六年前にこの世にうまれた小さなこの命

晴れた日にも雪の日にも 元気な時も病気の時も
変わらない優しい眼差しが 僕たちをつつんでくれた
                     ー「ありがとう心をこめて」


私の涙腺をパンチしてきた歌の一つです。
保育園でよく歌われる歌みたいですが、初めて聞きました。

・・・0才の娘と一緒に入院したときの思い出、一瞬でフラッシュバック。


長く子どもができず、
もう子どもは授からないものだとあきらめた矢先にやってきたのが娘。

だから、娘は「預かりもの」だと思っています。


ゼハンじいさん、ちょっと顔をあげたら、
本当はそこにネロの味方がいたかもしれないのに。

でも、追い詰められすぎて、見えなかったのかも。

世代的に、我慢が美徳だと教えられて育ったからなのかも。

気が付けば春の風が あんなに歌っているよ
ありがとうこころをこめて ありがとう そして さよなら

                     ー「ありがとう心をこめて」


「置かれたところで咲く」から
「咲く場所をデザインする」時代へ。

娘の心の根っこ育ての旅は、まだまだ続きます。

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新しいカルチャーの場を発信する私の半径3mのすごい人々を
勝手にインタビューする新シリーズ
第1回目

【前編:さくっと読める関連書籍ブックガイド】
未来を生きる世代に必要な「音楽」

につづく

【後編:私の半径3m以内の素敵な人々に勝手にインタビュー】

初のインタビュー起こしにつき、少々お時間いただいております。
来週にはお届けする予定です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。心から感謝します!