P16_【コラム】映画の「オフライン(紙)パンフレット」とは 丨 『東京彗星』オンラインパンフレット
僕の監督映画『東京彗星』について、オンラインでのパンフレットとしてnote記事を連載しています。
この「オンラインパンフレット」というのは、映画のパンフレットっていつまでも紙だよね、公式サイトってみんなあんまり見てないよね…という疑問から、じゃあオンラインでパンフレット的なものつくってみようと取り組んでいるものです。詳しくはこちらの記事にて。
今日から仕上げ作業について書こうと思っていたのですが、ちょうど今日、8月にこつこつデザインや編集していた"オフラインパンフレット(紙パンフレット)"が届いたので、それについて書くことにします。
というわけで、紙パンフレットの印刷があがってきました。
まずは全ページ、ご紹介!
↓P01_表紙
↓P02_03_ご挨拶、基礎情報
↓P04_05_場面集
↓P06_07_イントロダクション
↓P08_09_ストーリー
↓P10_11_メインキャスト
↓P12_13_見開き名場面
↓P14_15_キャスト・スタッフ
↓P16_17_監督ページ
↓P18_19_プロダクションノート(制作記録)
↓P20_21_ビジュアル資料ページ
↓P22_23_クレジット、広告
↓P24_裏表紙
という、全24ページ中綴じフルカラー、紙はサテン金藤180kgです。
編集・デザイン…俺!
いやー、これはなかなか大変でした。でも、楽しかった。
(一部大事なところの編集・原稿や全体の構成へのアドバイス、校正などは、大学の同級生で出版業界で活躍する伊藤伊万里さんの力を借りました。ありがとうございます!)
では、それぞれのページへのこだわりを勝手に書いていきます。
表紙
なんか、指紋がつくようにしたかったんです。90年代のアクション映画なんかのパンフレットって黒い部分が多くて、ポテチ食った手で読んでると指紋がついちゃうんです。そういうのって、子供の頃の思い出なので。
あと、ポスターでは入ってるコピーがなくなって、無言で主張してくる感じ。これは伝わらないかもしれませんが…。うまく言葉にできませんが、なんでしょうね、"この感じ"としか言いようがありません。
例えば…。
『クリフハンガー』の場合
↓ポスター
↓パンフレット
『バックドラフト』の場合
↓ポスター
↓パンフレット
『エイリアン2』の場合
↓ポスター
↓パンフレット
そして、『東京彗星』の場合
↓ポスター
↓パンフレット
…いや、まぁただコピーがなくなってるだけなんですけどね。
こだわってつくった映画好きの男からすると、
パ、パンフっぽい…!
と、悦に浸るわけです。たまらん。
開いてすぐのページ
いろんな場合があります。批評家の絶賛コメントが載ってたり、興行収入の記録が載ってたり、写真とコピーだったり。
洋画ではここに基礎情報が載ってることが多いです。
上映時間、画面サイズ、権利表記など。
昔はここにフィルムの巻数とメートル数も載ってました。
で、ごくまれに監督メッセージが載ってることがあります。最近だと、『シン・ゴジラ』がそうでしたね。
この映画は『シン・ゴジラ』の影響めちゃくちゃ受けてるんで、真似っこしました。内容は、2016年に初めて『東京彗星』の企画書を書いたときに載せていたメッセージです。その日から始まったこの映画がついに公開日を迎えることを考えると…エモい。
なんか写真がいっぱいあるページ
これも映画のパンフでよく見ますね。
↓『ダークナイト』だとこんな感じ。
映画のパンフにはこのように"なんか写真がいっぱいあるページ"があるよな、と思ったので、入れました。
イントロダクション
映画のことを内容というより商品としてざっくり説明するページです。だいたい、「ハリウッド超一流のスタッフが集結し」とか、「前代未聞のエンターテインメントが誕生した!」とか、スカスカの、しかし熱い煽り文がのっています。なので、そうしました。自分で自分の映画を褒めまくってます。ページの感じ自体は、この映画のイントロダクションページへのオマージュです。左上がそっくりですね。
ストーリー
映画のパンフにはかならずあるのが、このストーリーページ。1ページで終わることもあれば、パンフ全体に分割して散りばめられることもあります。本作では主に東京と岩手が舞台になるので、なんとなく劇中の舞台の位置関係を感じるように配置してみました。
内容的には普通の映画はだいたい、クライマックス直前までを記載してあって、「果たして○○することができるのか─?」という感じで終わりますが、本作ではラストまで完全に書いてます。ご鑑賞後にご覧になることをおすすめします。
そしてここでも、"映画パンフレットあるある"を取り入れています。それは…
↓『アルマゲドン』
↓『日本沈没(2006)』
"なんか各パートの小見出しを2文字熟語にしがち"
ということです。
あとは、『リターナー』の時系列解説がかっこよかったので、
さりげなくそういうパートも入れています。
ではあらためてご覧ください。
メインキャストページ
映画のパンフレットページではだいたい、各俳優へのちょっとしたインタビューが載っています。なので今回も、経歴とともにインタビューも掲載しました。写真はそれぞれ明るい"表"が、日常の象徴であるアパートでの顔。"裏"が、彗星衝突に直面する瞬間の表情です。
この映画のメインキャストは3人。表と裏がある3人のメインキャストといえば…ということで、ページレイアウトは『ダークナイト』のパンフレットからパク…いや、オ、オマージュです。
見開き名場面
これはもう、中学のときにつくった映画のパンフからずっとこだわってる部分です。
"中綴じのセンターページは記事なし、写真のみ"
これはいろんな映画のパンフでもたぶん、そうなってます。
↓『トップガン』
↓『デモリションマン』
こんなシーン映画になかったんですけどね。パンフ用に撮ったスチルでしょうか。小学校3年の夏休みの宿題の読書感想絵は、『デモリションマン』の小説を読んで、このページの模写を提出しました。小学校の廊下に一斉に掲示されたとき、みんなが児童文学とか世界名作とかのかわいい絵の中、一人だけスタローンとスナイプスのガチ絵だったので、浮いてました。ぽかーんとする上級生を見て気持ちよかったのを覚えています。
↓『ダイ・ハード3』
このページのコピーがまた、かっこいいんですよ。
キャスト・スタッフページ
"劇中写真に白枠をつける"という映画パンフあるあるを採用しました。『エイリアン2』のパンフがわかりやすいです。そういえば、昔のパンフってときどき白黒でしたね…。
↓『エイリアン2』のパンフ
監督ページ
濃いです。大学時代の友人の伊藤伊万里さんにガッツリインタビューしてもらい、まとめてもらいました。見開きで昔のコンテとかガッツリ載ってます。ふつうこんなに監督フィーチャーしないですが、この作品は誰に頼まれたのでもなく僕が言い出してつくらせてもらった、僕の名刺がわりの作品です。今後この作品を知る方で、僕ともともと知り合いじゃない人にも、なんとなく僕という人物がわかるようなページが必要だと考え、ずーずーしくもガッツリつくらせてもらいました。
ふつうはこんなに文量ないです。日本映画だとけっこうインタビューとか座談会とか何ページもあることはありますが。
洋画だと『トゥルーライズ』のキャメロンページでこんなもんです。
(そういえば、このときはキャメロンの次回作は『スパイダーマン』だったんですね…)
プロダクションノート(制作記録)
このページはめちゃめちゃこだわりました。ここはマジで、何かパンフの参考じゃないです。映画のパンフにはプロダクションノートページが必ずありますが、ダラダラ文が書いてあるだけであんまし映画制作全体の流れや臨場感がないものばかりだと思っていました。
ただ、日本映画の、特に樋口真嗣監督作品のパンフは、このページが充実していることが多いです。『ローレライ』のパンフの絵コンテは、しびれました。
ちなみに樋口監督の『ローレライ』の絵コンテは、まるごと本になって発売されています。すさまじいです。
樋口監督作品以外ではなんかなぁなぁにされている、プロダクションノートページ。自作のパンフでは、映画制作に馴染みがない人にとっても映画がどうつくられていくのかがわかるように、時計回りで流れを追えるようにレイアウトしました。
あとはCGや撮影などの派手なパートのことばかりではなく、制作過程全体を均等に記録しました。自主映画なので、すべての資料が僕の手元にあったからこそできたことですね。
主にこのページのことを更に詳しく細かく解説しているのが、個々数日のnote"映画制作とは"というシリーズです。
ちなみにこの紙パンフレットは、noteのオンラインパンフレットに近い記事がある場合は、そこに飛べるQRコードを記載してあります。
紙のパンフで書いてあることのさらに詳しいことが、QRで飛んだ先のオンラインで、もっとディープに読める。この取り組みって、たぶん映画業界初だと思うんですけど。
どうなんでしょう。褒めてほしいところです。今後なんかの映画で見かけたら、"いちばん最初にやった監督がいたような…"と思い出していただければと思います。
ビジュアル資料ページ
これも、オリジナルです。宣伝資料がパンフに掲載されることは、あんまりないです。そういう資料が見られるのはだいたい別で書店で売られる、設定資料集とかメイキング本です。
制作するときは制作費+宣伝費で、宣伝もセットで映画制作としているんだから、パンフでもそこまで含めて映画制作と考えて、こういうページがあってもいいだろうと思い、このページをつくりました。
"VISIONS OF TOKYO COMET"というページタイトルは、この本へのオマージュですね。
クレジット、広告
全キャスト・スタッフを掲載しています。この作品に力を貸してくれた大切な人たちです。感謝です。
そして、最後のページにはよくグッズ紹介とか、広告が載っています。特に、サントラとか、主題歌とか。
だから音楽と、主題歌の広告を入れさせてもらいました。
ちなみに僕が監督した、主題歌のPVはこちら。
ゴジラ映画なんかは、こういう最後ページにフィギュアやソフビの広告も載ってますよね。しかも昔のパンフだと、グッズはハガキで申し込んで購入するかたちでした。
↓『トゥルーライズ』
↓『トップガン』
パイロットスーツは完成品が間に合わなかったんでしょうね。なんとデザイン画です。
裏表紙
これも、こだわりです。
"メインビジュアルじゃないさりげない画像に、シンプルにロゴを入れる"
"ビリング(めちゃ細いフォントでメインキャスト・スタッフが書いてあるやつ)がロゴの下に載っている"
というのを守ってつくりました。
↓『アルマゲドン』
とまぁ、こんな感じで。オンラインパンフレットをこつこつ書いてますが、
紙パンフレットも大好きなんです。
好きすぎて、自分の結婚式でもパンフレットつくりました。
ご挨拶とか席次表とか食事メニューとか小さい頃からの写真とか、結婚式で必要な情報を全部これに入れました。
しかし配った僕は気持ちよかったですが、ゲストの方にとっては荷物になったでしょうね…すんません。
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