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2024/02/08、『PERFECT DAYS』と「文学」への眼差しについて

2024/02/08、『PERFECT DAYS』と「文学」への眼差しについて

朝一で歯医者に行き銀歯を入れた後、ちょうどタイミングが嚙み合ったので京都シネマに自転車で向かい、ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』を観てきた。
周囲にきくところ前評判はとても良く、楽しみな気持ちで向かったのだけれど、この映画を観て、近頃の自分が見落としていたこと、もう一度心に強く刻んでおきたい大切なことを、教えられた気がした。

それは、「人が生きること」、あるいは「文学」と、それを

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2024/03/17、青柳さんと『ニュー・シネマ・パラダイス』 放送部時代の話

2024/03/17、青柳さんと『ニュー・シネマ・パラダイス』 放送部時代の話

夜、利尻の自宅。
ホームシアター初上映。これだけは、と、人も呼ばずに1人で観た。
その数時間前に、島で葉野菜の水耕栽培をされている方にお会いして、いろいろお話させていただいたのだけれど、途中、映画の話になりーーその方の家にもプロジェクターとスクリーンがあったーー好きな映画は何と聞かれ、少し迷って、『ニュー・シネマ・パラダイス』と答えた。

昨年、劇場で唯一泣いた映画は、この映画に音楽をつけたモリコ

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2024/02/16、『Stop Making Sense』と没入できる場づくりについて

2024/02/16、『Stop Making Sense』と没入できる場づくりについて

昨晩は指導教官と呑み、そのことは記録しておきたかったのでそこに紙幅を割いたが、15日昼、京都シネマで『Stop Making Sense 4Kレストア』を観てきた。

トーキング・ヘッズの1983年の伝説のライブの映像が映画になったもので、90分弱、ボーカルでギターのデイヴィッド・バーンが登場してから、暗幕が下がるまでがそのまま流れた。そんな映画は初めてだった。

舞台中央のマイクに歩くデイヴィッ

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2024/02/01、刺さらなかった映画

ジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1992)を再鑑賞。22日から出町座でかかるというけど、もうその時には京都にいないので!残念だが仕方ないから寮で上映会をした。

いやぁやっぱり好きだ。
本当に気の合うやつは会って30秒で分かる。そういうことを描いていると思う。つまりは恋。別に性別なんて関係ないのさ。
そしてこの映画自体も、始まってすぐ「気の合う」映画だって分かる。素晴らしい

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2024/01/31 助けられた映画

この映画に何度助けられたことだろう。リリイ・シュシュのすべて。

助けられた映画か。

・濱口竜介「ドライブ・マイ・カー」(2021)

映画館で3度、その後サブスクで2度鑑賞。
恋愛と享楽と身体の話。向き合いが足りないと迫る岡田将生にやられてしまった。初鑑賞時は怒りが湧いてきて離席しようと思った。ぐちゃぐちゃな感情を処理しようとあとで何度も見たら、希望が見えた感じ。ワーニャ伯父さんも印象的。

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